第2話……ウイニング、イレブン」



***


### 決定打:『仁義なきウイイレ』


鉄火場が、異様な静寂に包まれていた。

「1と1で11(イレブン)だから、半(奇数)」。

その暴論がまかり通ってしまった直後だ。


七海は、盆の上に転がる二つのサイコロ(ピンゾロ)を、長く美しい指でつまみ上げると、それを自分の目の前に掲げた。

そして、勝ち取った札束の山を流し目で見やり、勝利の女神だけが許されたセクシーな声で囁いた。


**「……ウイニング、イレブン」**


一瞬の間。

そして、扇子で口元を隠し、とどめの嘲笑。


「……フフッ!」


その瞬間、鉄火場の時が動き出した。

男たちの理性が崩壊する音が聞こえた。


**「「「ふざけんなァァァーーーーッ!!!!」」」**


「サッカーかよ! ゲームかよ!」

「ここ賭場だぞ! なに上手いこと言った顔してんだ!」

「審判! レッドカード! 一発退場だろこれ!!」


男たちの怒号が嵐のように吹き荒れる中、七海は「あら、いい試合だったじゃない」と涼しい顔で、京友禅の裾を翻し、悠々と花道を引き上げていった。


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『七海姐さん、まさかのゴール! 鉄火場で奇跡の「ウイニングイレブン」炸裂』 志乃原七海 @09093495732p

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