概要
君だけが、透明だった。
クラスに転校してきた藤森灯花は、見える人と見えない人がいる──“準透明人間”だった。
高校二年の春、転校してきた彼女の姿が、僕にだけ見えない。
声は聞こえる。気配もある。けれど、その輪郭だけが欠けている。放課後の教室で二人きりになった僕は、「見えない存在は、存在していないのと同じだ」と口にしてしまう。その言葉への返答として彼女が選んだのは、見えないまま、確かに“触れる”という行為だった。
見えない恋と、認識できない存在をめぐる、ひとつの春のSF短編。
高校二年の春、転校してきた彼女の姿が、僕にだけ見えない。
声は聞こえる。気配もある。けれど、その輪郭だけが欠けている。放課後の教室で二人きりになった僕は、「見えない存在は、存在していないのと同じだ」と口にしてしまう。その言葉への返答として彼女が選んだのは、見えないまま、確かに“触れる”という行為だった。
見えない恋と、認識できない存在をめぐる、ひとつの春のSF短編。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「僕にだけ見えない転校生が、最後に“触れて”消えた。」
転校生は「準透明人間」だった。
――クラスのみんなには見えるのに、“僕にだけ”見えない。
声は聞こえる。椅子は軋む。みんなの視線も集まっている。
なのに、そこには何もない。
このズレがじわじわと主人公を孤独にしていき、同時に彼女の「慣れた明るさ」が、逆に痛い。
やがて放課後の教室で、チョークの粉が指先の輪郭を浮かび上がらせる。
見えないはずの彼女が、ほんの一瞬だけ“ここにいる”と分かる瞬間。
そして交わされる、言葉より確かな一つの接触。
透明なラブストーリーなのに、ちゃんと現実の寂しさがある。
読後は、空席に手を伸ばしたくなる余韻が残ります。