転校生は「準透明人間」だった。
――クラスのみんなには見えるのに、“僕にだけ”見えない。
声は聞こえる。椅子は軋む。みんなの視線も集まっている。
なのに、そこには何もない。
このズレがじわじわと主人公を孤独にしていき、同時に彼女の「慣れた明るさ」が、逆に痛い。
やがて放課後の教室で、チョークの粉が指先の輪郭を浮かび上がらせる。
見えないはずの彼女が、ほんの一瞬だけ“ここにいる”と分かる瞬間。
そして交わされる、言葉より確かな一つの接触。
透明なラブストーリーなのに、ちゃんと現実の寂しさがある。
読後は、空席に手を伸ばしたくなる余韻が残ります。