その優しさは救いか、逃げ場のない愛か――。

本作は、閉じ込められるという恐怖から始まる物語でありながら、次第に形を変えていく過程を生々しい心理描写によって丁寧に描いた作品だと感じました。

「優しくされること」「必要とされていると感じること」が、いつの間にか心を縛り、世界を狭めていく――その過程が、淡々とした日常描写の中に潜んでいました。

深青が「みお」へと変わっていく言葉遣いや思考の揺らぎがとても生々しく、ゾクッとするような不安を感じる部分もあります。

特に、先生がチラっと弱さを覗かせる場面がありますが、どこか支配と依存がの関係が、いつの間にか反転しているようにも感じられ、単純な善悪では割り切れない余韻を感じました。

檻と救いとがいつしか入れ替わっていく心理描写が価値観を揺さぶってくる、面白い作品です。