折れた翼のまま、少女はもう戻らない楽園を見上げた。
- ★★★ Excellent!!!
崩壊した世界で、少女が抱えていた小さな日常が、一瞬でひっくり返る。
必死に守ってきた温もり、そしてその裏側に静かに近づく“異質な気配”。物語は甘さも油断も許さない世界観を、一気に肌へ突きつけてくる。
そこへ現れる、目的の読めない青年。救いの手にも見え、破滅にも見える存在であり、その危うさが主人公との距離に絶えず緊張を走らせる。二人の会話には火花のような衝突と、互いの素性を探り合う鋭さがあり、ページをめくるたびに空気が変わる。
そして、世界に潜む“敵”の存在感は圧倒的。静寂を破る描写は息を飲むほど迫力があり、読者の想像を軽々と超えてくる。戦う術を持たない少女が、なにを奪われ、なにに立ち向かおうとするのか――