ここに悪意は刻まれ、絶望が生まれる……。

始まりは静かな物語だった。

山田洋次監督の映画みたいに、穏やかで美しい始まりだった。
小さな幸せの息遣いや、些細な戸惑いがあった。

同時に得体の知れない何かも感じた。

知らぬ間に指先で乾いてしまった血の跡みたいに、何処を切ったのか分からない見えない傷を感じた。

積み重なり過ぎ行く時間が「嘘」に見えた。
歩いている道が「嘘」に見えた。
認識している事、知覚している事、感情が、信頼が、優しさが、濁った「嘘」をしみこませている様で、怖かった。

悪意は巡る。

きっと誰も悪くないのに「悪意」はどこまでもどこまでも、非情で残酷で腐り切って抜け出せず、ねっとりとぬっちゃりとじゅくじゅくと、あらゆるものが螺旋と円環に呑まれて渦となる。

タスケルミチモミエナクテ、オモクテ、クルシクテ、イタマシクテ、ヤサシクナクテ、悪夢シカナクテ……。

押しつぶされそうで、息苦しくて、響いて、裂けて、うねって、酷くツメタクテ。

棘は茨と成りて、繰り返し肉を刻み、叫びは慟哭を越えて、声は潰える。

滲んだ想いは染みとなり果て、拭えぬ狂気が色を濃くする。

キット誰モワルクナイノニ……。

僕はそんな「悪意」の渦に巻き込まれて、どうなってしまうのかわからなかった。

だけど、

それは……。

お勧め致します。

書籍化作品【邪祓師の腹痛さん】シリーズ、続巻が刊行される事を切に願いつつ、このお勧めレビューに最大の敬意を込めて深川我無氏へ。

そしてより多くの読者様に!

圧巻のラストに僕は鳥肌と感動を覚えました。

皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)

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