味わえ、緊張と期待の混沌を。

作者さんの筆力と構成意識の高さが、冒頭からはっきり伝わってくる作品でした!

「――間に合わなかった」

という導入から一気に沸き起こる緊張感。
その後も感情・状況・政治的な危うさを途切れさせずに積み重ねていく流れが、めっちゃくちゃ巧みです!

その腕は世界観や設定の説明にも表れていて、竜を『道具』として扱う周囲と、アルトやカグツチの感情とのズレなど、会話と所作だけで読者に「気づかせる」ような構成になってます。
同じ物書きとして、見習いたいなあと思うばかりです……。

静かな会話劇の中で、王家・貴族社会・竜の価値観が自然に絡み合い、先の展開への不安と期待が同時に残る本作。
完成度が高く、作者さんの地力をしっかり味わえる一作だと思います。
ぜひ皆さんも読んでみてください!

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