失恋した時計コレクターの男が衝動的にベトナム・ダナンに旅に出ることでこの物語は幕を開けます。朝陽のビーチやホイアンの日本橋を巡り心の傷を癒します。そして彼は香港・荃湾で長年の時計友だちの店を訪ねる途中に雨宿りしたコンビニで、本土出身の女性に出会います。道案内をきっかけに二人は「30分だけ一緒に花屋へ」「30分だけアンティーク店へ」「30分だけお茶を」などささやかな時を過ごすようになります。やがて二人はチャットでつながり、大阪と香港でささやかなチャットをして距離が縮まっていきます。彼は香港を再訪し、ビクトリア・ハーバーのカウントダウン花火を彼女と一緒に見て新年を迎えます。そして中国・桂林への小旅行で、彼女の「故郷の国」を一緒に歩くことになります。この物語は時計・信号音・紅茶・20元札などのモチーフを通じて、「止まっていた針」が少しずつ動き出す物語です。静かに、けれど確かに時間が動き出します。静かで切ない物語、あなたもいかがですか?
『Under the Same Sky ― 圭と蓉 ―』は、「止まってしまった時間が、誰かと同じ空の下で少しずつ動き出していく」過程を、旅の風景と静かな感情の揺れで描いた、とても余韻の深い物語です 🌇🕰️
圭は、過去の出来事をきっかけに心のどこかが止まったままの人物として登場します 😥🧳
仕事も日常もこなしてはいるけれど、どこか“自分の人生を外側から眺めている”ような距離感がある 🏢👀
そんな彼が、異国の地で蓉と出会い、同じ景色を見て、同じ空気を吸い、同じ空を見上げることで、「自分の時間」をもう一度取り戻していく流れが、とても静かで、だからこそ胸に沁みました 🌏🌙
大きな声で泣いたり笑ったりする物語ではなく、心の奥でそっと息を吹き返していくような“再生の物語”です 💫💞
恋愛としても、人生の再出発の物語としても読める、静かで大人な一作でした 🌅✨
主人公、圭が香港で蓉という女性と出会い、恋をする物語。
日本と香港、離れている二人はチャットアプリで会話をし、時にリアルで出会いながら距離を詰めていきます。短い時間でも二人の間には温かな時間が流れています。ゆっくりと。
この作品には小道具として古い機械式の時計が登場しますが、機械式のムーブメントが刻む音が、二人の間に流れる時間を象徴しているよう。おそらくはロービートのテンプの音が心に響きます。
それは信号の刻むチッチッという音とも同期し、街を歩く二人の時間を彩る。
温かく優しい時間を共にする二人の物語をぜひご覧ください。
時間が止まったままの心を抱えて、
圭はふとした衝動で旅に出る。
行き先は、理由もなく選んだベトナム・ダナン。
湿った空気と、まぶしい朝陽。
ホイアンの古い橋、コーヒーの香り、
知らない街の静けさが、
心の奥に少しずつ「音」を取り戻していく。
そして香港。
雨上がりの夜、迷い込んだコンビニ。
言葉の壁を越えて道を教えてくれたのは、
濡れた髪の向こうで、やさしく笑う、
見知らぬ女性だった。
たったひとことの「また、会えるかな?」
交わしたのは、
「人混みの中での再会」と「30分だけ」の約束。
短いけれど、確かに心に触れた時間が、
止まっていた「秒針」を、静かに動かしていく。
これは、過去を美化せず、未来を急がず、
ただ「いま」の温度に耳を澄ます物語。
過去を手放すため始めた旅。ダナン、香港、そして出会った一人の女性・蓉。言葉はたどたどしいのに、なぜか心が通じ合う。
「30分だけでも、会えますか」
——そのひと言から、止まっていた針が静かに動き出す。
雨上がりの街で交わした名前。花束を選んだ瞬間。QQで交わす短いメッセージ。何気ない日常の中に、確かな温度が宿っていく。
圭が時計を修理する場面が印象的。
「なおすのではなく、寄り添う」
——その姿勢が、彼女との関係そのものを映している。大阪と香港、離れた街で刻む秒針の音が、やがて同じリズムを刻み始める。
「世界でいちばん静かな夕陽」を見る約束。その先に何が待つのか。丁寧な描写と余韻が心地よい、大人の恋愛小説。