怪異を蹂躙する「怪物」の再誕。圧倒的生命力で世界の理を穿つ現代伝奇!

怪異、霊能者、超能力者。人知を超えた存在が跋扈する不条理な世界に、一人の「怪物」が産み落とされました。本作は、転生者である主人公が自らの内側に眠る『生命力の源であるモヤ』を練り上げ、理不尽な怪異どもを圧倒的な力で制圧していく様を描いた、現代ファンタジーの意欲作です。

特筆すべきは、主人公の「怪物」としての冷徹かつ合理的な在り方です。
本来恐怖の対象であるはずの怪異に対し、『逃げ惑う怪異を追い立てた』とする描写に象徴される通り、本作における力関係は完全なる逆転を見せています。八尺様や猿の怪異といった強大な存在が、主人公の前では「研究対象」や「駆除対象」へと成り下がる。この徹底したパワーバランスの蹂躙こそが、本作最大のカタルシスです。

また、立川ヒナトをはじめとする個性的な能力者との邂逅や、中学入学という「日常」の風景が、非日常的な戦闘描写と見事なコントラストを成しています。独自の生命力操作理論に基づいた緻密な成長プロセスは、読者に「未知の力が解明されていく快感」を強く与えます。

既成の霊能バトルの枠を超え、在野の怪物が世界の理を塗り替えていくその軌跡。圧倒的な熱量で描かれる「怪物の覚醒」を、ぜひその目で目撃してください。

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