圧倒的な「異質さ」と「暴力的なカタルシス」で読者を惹きつける異色作
- ★★★ Excellent!!!
本作は、いわゆる「現代ファンタジー」や「伝奇もの」の枠組みの中にありながら、圧倒的な「異質さ」と「暴力的なカタルシス」で読者を惹きつける異色作です。
現代社会の裏側で、幽霊(怪異)や超能力者が日常的にしのぎを削る過酷な世界。そこに、人間ではない「怪物」としてのルーツを持つ主人公が転生します。
彼はヒーローを目指すわけでも、正義を振りかざすわけでもありません。ただ、己の生存と本能、そして時に「縁」のままに、立ちふさがる理不尽な怪異や傲慢な能力者たちを圧倒的な力で粉砕していく物語です。
「怪物」ゆえの圧倒的な蹂躙劇、本作の最大の魅力は、主人公の規格外の強さです。小細工や甘っちょろい精神論を一切寄せ付けず、物理・概念の両面から敵を「わからせる」描写は圧巻。既存の霊能者たちが束になっても勝てない怪異を、さらに上位の存在として捕食・蹂躙する姿は、ダークヒーロー的な爽快感に満ちて大変面白いです。