アニメ愛は銀河を超える!異星人とオタクが織りなす、前代未聞の文化交流譚

「異星人の観光客」×「日本のアニメ文化」。この突飛な組み合わせが、これほどまでに熱く、そして滑稽に成立するとは誰が予想しただろうか。

舞台は近未来の聖地・ツキハバラ。そこへ降り立ったのは、侵略者でも友好使節でもなく、重度のアニオタと化した「異星人」たちだった。彼らの目的はただ一つ、推しへの愛を全うすること。そして、彼らを導き、知らず知らずのうちに地球の命運を背負わされるのは、特殊部隊でも政治家でもない。アニメを愛し、アニメに救われてきた一人の「オタク」である。

本作の最大の魅力は、マニアックなオタク知識が銀河規模の難局を打破していく圧倒的な爽快感にある。
執筆官として注視すべきは、その描写の解像度の高さだ。秋葉原を彷彿とさせるツキハバラの喧騒、フィギュアや同人誌を前に狂喜乱舞する異星人のコミカルな描写、そして「好きなものを語る」時の主人公の熱量は、読者の内なる情熱に強く呼応する。

SFの壮大さと、コメディの軽快さ。一見相反する要素が、キャラクターたちの「好き」という純粋な感情によって見事に調和している。
異星人との文化交流を通じて描かれるのは、種族を超えた共感と、文化を愛することの本質だ。

笑いながら読み進めるうちに、いつの間にか主人公を応援し、共にツキハバラを駆け抜けている自分に気づくはずだ。サブカルチャーへの愛が詰まった、新感覚の「救世主伝説」をぜひ体感してほしい。

その他のおすすめレビュー

@gdragon24さんの他のおすすめレビュー10