運命だって、利用してみせる
- ★★★ Excellent!!!
主人公はある宿命を背負って新しい世界に転生し、そこから人生を歩みなおす物語です。
彼がもう一度生きることを選んだ理由はここでは語らないものの、悲しい業を背負わされていることは注目すべき設定です。
舞台は人や命の価値は儚い、差別ありきの世界観。それでも主人公は本人が口にはしないものの、命は尊いものと認識しています。その認識が、前世で得たかけがえのない宝物のように人格の中心で息づいております。
時に苛烈な表現で戦闘描写をし、容赦ない魂の選別を行っているようにも見えますが、相手の種族に関わらず、己の正しいと思うやり方で避けられる争いは避けようとしている面に、主人公なりの美学や価値観が反映されていました。
そのため、読者は彼に対して「無敵だが、理不尽ではない。道理と自分の芯を持った人物」と捉えるでしょう。
利己だけではない暴力ではなく、秩序と対価を求める主人公のさらなる活躍が楽しみです。