同じ場所で、同じ景色を見たという確かな記憶

 美を追及することは時として人を孤独にし、不幸へと誘うこともあるのかもしれません。
 しかし朱里は、たった一つの拠り所を見つけ、自らの存在価値をその場に確立します。

 そのことを主人公の語りにより示され、場面は二人の思い出へと写ろう。
 そして思い出の地で見つける亡き想い人との新たな記憶に、本作の主題が込められているのだと思いました。

 特に素晴らしいのが情景描写。
 明確なメタファーと趣のある描写により、主人公たちが体験した人生を自分事のように追いかけることができる作品です!

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