「屁で笑う三男と猫、そして“つもりだらけ”の人生」
- ★★★ Excellent!!!
最初の掴みがズルいです。
小学生の三男と猫の関係が、くだらなくて最高に可愛くて、いきなり空気が掴まれます。笑わせに来てるのに、猫がちゃんと“家族の一員”としてそこにいるのがいい。
そこから語り手の過去に入ると、口調は軽いままなのに、内容はだんだん苦くなっていく。
「エリートのはずだった」「順風満帆のつもりだった」みたいな言い回しが続くのが、ただの自虐じゃなくて、後悔と照れ隠しの混ざったリアルな声に聞こえました。
明るい日常と、目をそらせないしんどさが同じ語り口でつながっているので、重くなりすぎずに読めるのに、ちゃんと刺さります。
この先、三男や猫や家族が、この語り手にどんな時間を渡していくのか――そこが気になって続きを読みたくなりました。