ループ　～僕が本当に欲しかったものは～

中学二年の名取総司は、神社で“ループ”――最大十日前まで時間を巻き戻せる力を授かる。

失敗は消えない記憶に変わり、二度目の自分はいつも少しだけ上手くやれる。勉強もサッカーも、そして想い人の七瀬栞への距離さえ、近づけるはずだった。

けれど、勝利の影には仲間の涙があり、簡単な正解の裏には自分の卑怯がある。無表情で本質を見抜く同級生・水樹紅葉、天才ＦＷ・北村仁――かけがえのない日々と人間関係の中で、総司は「ループが人を弱くする」現実に気づいていく。

そして告げられる禁忌――“命に関わるためのループ”は許されない。
一度きりの時間で好きになること、一度きりの勇気で選ぶこと。やり直しの利く世界で、総司が本当に手に入れたいものは、巻き戻せない現在（いま）の先にある。

恋と選択のタイムリープ青春譚。