序盤の違和感が、後半で効いてくるタイプの物語です!!

本作の強みは、奇抜な設定(鏡を見ると縮む/くしゃみで戻る)を「ネタ」にせず、ちゃんと<生活の危機>として描き切っているところ。最初は笑えるのに、すぐ背後に不穏が立ち上がり、日常が少しずつ剥がれていく。その温度差が上手くて、序盤からページをめくる手が止まりません。

加えて、会話のテンポが良い。軽口で空気を緩めながら、言外に「隠していること」「急がなければいけない理由」を匂わせるので、読者の好奇心をずっと繋いでくれます。世界観も、いきなり説明で固めず、必要な情報が“出来事の中で”自然に入ってくるから読みやすい。

そして何より、この物語は“ここから”が本番です。舞台が広がるほどに、最初に置かれた違和感が別の角度を持ちはじめ、登場人物たちの距離も変わっていく。序盤で感じた「面白い」が、後半で「そういうことだったのか」に育っていくタイプの作品です。

まずは気軽に読んでみてほしい。気づけば、続きに手が伸びています。

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