正当なハイレベルな作品です。
冒頭から十ページも読み進めれば科学的な話だけでなく、
手順や背景、理屈、会話など様々な要素が絡み、分かりやすく物語が展開、
じっくり読むには時を忘れてしまう事でしょう。
さらに驚くべきは物語だけにとどまりません。
みなさんはラノベ界隈でノーミスの文章を読んだことがあるでしょうか。
私は自分自身でも誤字脱字、「。」などのミスを多々しています。
校正も大変なのでサボってしまうときもあります。でもそれが普通。
ところがどっこい、まさかのノーミスの高品質作品を発見。
校正って究極に考えれば、読者さんが読みやすいように配慮する、
作者側を代弁すれば、そんな心の強さ、サービス精神みたいなものが
必要だと思います。言葉はよくても行動では伴わないことがありますよね。
校正・加筆・誤字修正……長編になりますと大変な作業です。
何回も読み直して、校正を繰り返してもミスが減らなかったりします。
つまりこの作品は書籍クラスです。これが無料!
凄いものを見せて頂きました。
PS:プレッシャー掛け過ぎでしたらスミマセン。
大学で研究者として勤務していた主人公は、女性であるという理由だけで冷遇される日々を送っていた。そんな彼女が、異世界で王族の第10王子・アダムとして転生を果たす。女神から「平等な社会を築いてほしい」と託され、異世界でも研究者としての道を歩むことを決意する。
エルフや吸血鬼、悪魔といった異種族が共存するファンタジー世界でありながら、パソコンや自動車といった現代的な技術も存在している世界観が独特です。
女神のはからいで王族として生まれたアダムですが、第10王子という地位では権力や財力は自由に使えない。さらに問題を抱える両親によって辺境へと追いやられてしまう。またしても冷遇を受けながらも、研究者を目指すアダムの姿が健気で心を打つんですよ。
この世界において『研究者』とは、個人が勝手に危険な実験や違法な研究を行えないように、最難関の国家資格になっている。論文が認められなければ名乗ることすら許されない。10歳のアダムは研究者となるためにフィールドワークを始め、周囲の協力を得ながら見事、史上最年少で資格を取得する。
それだけでも十分に立派ですが、ここからが始まり。自らの研究所を持つためには、他の王子や王女たちと競い合い、王位継承順位を上げていく『王位戦』に挑まなければならない。知恵を武器に立ち回るアダムの姿が、本作の見どころ。逆境に屈せず、知性と努力で未来を切り拓くアダムの挑戦に胸が高鳴ります。
(「異世界で科学無双」4選/文=愛咲優詩)