概要
化物が隣人でありえた、最後の時代の物語。傍若無人な絵師×不器用な化物
【訳あり化物絵師と鵺が挑む、幕末あやかし×民俗学ライトミステリー:水・土6時40分更新】
舞台は幕末の江戸。
青年絵師・愁水は妹を救うため、神主に化けた鵺との契約により、化物の魂を絵に宿す〈魔の筆〉を手に取る。
〈ある記憶〉を奪われた絵師と、〈身体の一部〉を奪われた鵺。
互いに欠けたものを追い、
化物に〈居場所〉を与えて怪異を解決する日々はやがて、
宿敵である陰陽師の陰謀、そして愁水の忌まわしい過去――呪われた血脈と、因習により〈正史〉を歪めた地へと繋がっていく……。
「――私を封じられるほど、強くなれ、愁水」
激動の時代を駆け抜ける人と化物が、最後に辿り着くのは救いか、呪いか――。
【一話完結の短編連作】カクコン11読者選考・最終26位(ライト文芸部門)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★ Very Good!!雰囲気が良すぎて、するっと物語に入れた
最初から雰囲気がすごく良くて、一気に作品の世界に引き込まれました。雨の音とか、朝の冷たい空気とか、化物の気配みたいなものが自然に伝わってきて、読んでいるだけで景色が浮かびます。説明しすぎずに空気で見せてくれる感じが心地よいです。
愁水と嗣巳の関係性もすごくバランスが取れています。べったり仲良しなバディではないのに、会話の端々にちゃんと積み重ねが感じられて、互いに信用しきっているわけではないのに、どこかで相手を放っておけない感じがありますね。
特に「小袖の手」は印象に残りました。怪談としての不気味さがちゃんとあるのに、怖いだけで終わらず、喪失の寂しさとか、言えなかった思いとかがじわっと染み…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人と化物の情が交差する、痛くて美しい江戸怪異譚
江戸を舞台に、化物がまだ隣人であり得た最後の時代を描く、情緒と痛みが同居した怪異連作。
絵師・愁水と、彼に憑く鵺・嗣巳の凸凹バディを軸に、呪具・流行神・付喪神など、人の心が生んだ怪異へと踏み込んでいく。
物語の魅力は、怪異そのものよりも怪異を生み出す人間の感情に焦点を当てている点。
愛情、執着、後悔、願い。
それらが形を持ち、化物となり、誰かを救いもすれば傷つけもする。
愁水の優しさと危うさ、嗣巳の冷徹さと不器用な情、そして人間側の登場人物たちの揺れる心。
怪談でありながら、読後にはどこか温かさが残る、人と化物の境界を描いた物語。
続きが気になる、静かで美しい怪異譚です。