魔法の存在する世界。それが実在するならば、本当にこのような問題が……

 異世界ならではのこのジレンマ。この葛藤。事実がわかることで強烈に心に響いてきます。

 主人公のアリケは強大な力を持った魔法使い。しかし、ある時に気がつくと彼は体を拘束されており、更には魔力も封じられていることがわかる。

 彼のいる家には見知らぬ男が出入りしており、アリケに対して「勝手に出入りするな」などの命令を出してくる。

 アリケは親しくしていた少年ケサカートのことを心配し、彼がどうしているのかと心配する。それ以上に、彼はどうして拘束され、監禁されるような状況になっているのか。

 前編と後編を読んでいくことで、物語の印象が大きく変わるのが特徴的でした。「魔法の存在する世界」だからこそ、現実の世界よりも更に多くの「処置」が必要になるということ。

 もしもファンタジーな世界が現実にあるのなら、この物語のような問題も確実に起こるのだろうと考えさせられます。

 そして、作中人物たちが抱えているだろう想い。アリケも、そしてもう一人の登場人物も、どういう気持ちでこの事実と向き合っているのか。それを想像すると切ない気持ちにもさせられました。

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