志草ねなさんの最新作です。異世界ファンタジーですが、ファンタジー色は薄目、ついてにBL色も薄いです。が、これいい、評判になるのが分かります。
よく異世界ファンタジーで、長命のエルフが若いままなのに、愛したヒューマンが齢を取って死んでいくという、悲恋の物語がありますよね。
本作は、その逆、魔法使いのアリケは若々しいのに頭だけ老いていき、愛した人を忘れていくのが物悲しいです。
「迷惑なもんか! 切ないだけだよ」っていう、ケサカートの心の叫びが読者の胸を打ちます。
でも、それは自然の摂理。忘れたっていいんです。アリケの最後のセリフ、「何度だって、また仲良しになるから!」に、ほんの少しですが救いがあってよかったです。
これはよい。お勧めです。
不思議なお話。
魔法使いアリケ。
どうしたことか、彼は魔法使いなのに紐でベッドに縛り付けられています。そんなはじまりから、アリケは、一緒に暮らすケサカートという小さな男の探そうとします。
自分は誰かに縛られていたのに、すぐにケサカートのことが心配になるなんて、なんて、優しい人なんだろうと思いました。
ところが、読み進めていくうちに、不思議なことがどんどんと出てきます。
文章の巧みさに引き込まれ、ああ、そういう事だったのか、とラストは胸を締め付けられました。
人が人を思う心の優しい小説です。
ぜひ、一度読んで頂きたいと思いました。
ラストの言葉に、心が揺さぶられます。
お薦めいたします。
異世界ならではのこのジレンマ。この葛藤。事実がわかることで強烈に心に響いてきます。
主人公のアリケは強大な力を持った魔法使い。しかし、ある時に気がつくと彼は体を拘束されており、更には魔力も封じられていることがわかる。
彼のいる家には見知らぬ男が出入りしており、アリケに対して「勝手に出入りするな」などの命令を出してくる。
アリケは親しくしていた少年ケサカートのことを心配し、彼がどうしているのかと心配する。それ以上に、彼はどうして拘束され、監禁されるような状況になっているのか。
前編と後編を読んでいくことで、物語の印象が大きく変わるのが特徴的でした。「魔法の存在する世界」だからこそ、現実の世界よりも更に多くの「処置」が必要になるということ。
もしもファンタジーな世界が現実にあるのなら、この物語のような問題も確実に起こるのだろうと考えさせられます。
そして、作中人物たちが抱えているだろう想い。アリケも、そしてもう一人の登場人物も、どういう気持ちでこの事実と向き合っているのか。それを想像すると切ない気持ちにもさせられました。
主人公アリケは、魔法使い。
魔法補助の道具や修理を一手に引き受けるベテランの魔法使いだ。
そんな彼が、なぜか自室に監禁されているところから物語ははじまる。
部屋には見知らぬ、ガラの悪い大男。察するにこの男に監禁されたのだろうと判る。
しかし、目的はなんだろう?
強盗? それならばなぜ、監禁部屋ではなく、自室に縛り付けるんだろう?
この大男の目的がわからないが、アリケには切実な問題があった。
この家に……アリケと暮らしているケサカートという少年がいるはずなのである。
まだ小さい、孤児の少年で、魔法ですらろくに使えない。
そんな子が、この大男と鉢合わせたら……?
愛する家族と、いつか会えなくなる日が来るとして。
その日がいつきても後悔のないように、日々を紡いでいかないといけない。
そしてそんな別れが、いつになるかなど誰にもわからないのだ。
例えばそれはこんな……
大男に囚われた 今朝かと……
ご一読を!!