9燈:へんなアプリ
【ミッドナイト・オカ研】謎アプリ「見」って何?削除しても戻るって話をざっくりまとめるよ
(SE:チルホラー調のBGM。タイトルロゴ「ミッドナイト・オカルト研究会」が暗い背景にフェードイン)
マユ(以下:部長)
「こんばんは。ミッドナイトオカ研、部長のマユです」
アヤ(以下:後輩)
「そして! 怖がり担当、後輩のアヤです! 今日もよろしくお願いします〜!」
部長
「今日は、ネットの片隅で時々ささやかれる、“モザイクアイコンの謎のアプリ”の話をしようと思います」
後輩
「え、アプリがこわいことある?」
部長
「タイトルは、たった一文字。『見』。読みは“み”」
(BGMが低く沈むシンセベースに切り替わる)
「報告はほんの数件。でも、どれも似てる。
アイコンは、黒と青がまじったノイズのような模様。
タップすると……ただ、真っ黒な画面が出るだけ」
後輩
「え、なにそれ。アプリっていうより……なんかのショートカット?」
部長
「それは案外、的を射てるかも。
最初に見つかった報告は、2012年。
■ppleの公式サポート掲示板に残ってるスレッドだね」
(画面に■pple Discussions風のキャプチャ。スクロールしながら投稿本文をナレーション風に表示)
部長
「“気がついたのはひと月前なのですが、ホーム画面に『見』という一文字のアプリが追加されていました。”
“アイコンは青と黒が混ざったノイズ模様。”
“タップしても真っ黒な画面が出るだけで、特に何も起こらず実害はないようなのですが、削除しても、数日後にはまた戻ってきます。”」
(スクリーンショット「IMG_3201.PNG」表示。BGMがやや不安げな揺らぎに変化)
後輩
「ふーん。まあそんぐらいならええやん」
部長
「でもウイルスとかマルウェアとか、危険だからね。
スレッドでも有識者から
“アプリ自体がマルウェア、もしくはマルウェアを起動・再インストールするためのトリガー役である可能性があります。真っ黒な画面が出るだけで「実害はない」ように見えても、バックグラウンドで個人情報の収集やデバイスの遠隔操作、あるいは他の悪質なプログラムのダウンロード準備といった活動をしている可能性があります。”
といわれていたよ。
“怪しいですね。構成プロファイルや企業配布アプリを入れたことはありませんか?”
とか
“もしかしてテーマアイコンが壊れてるとか?”
っていろいろ案内されて、最終的には
“スマホの初期化(工場出荷時の状態に戻す)が最終手段として必要になる可能性があります”って案内されて終わってる」
後輩
「……まあ、これは『見』っていう名前はなんか不気味ですけど、どうってことはないですね」
部長
「かもしれないね。ただ、この2012年のスレッドが、確認できる中で最初の謎のアプリ『見』の報告。
“都市伝説”って言葉すら使われていなかった時代の、ただの小さな違和感が、静かに、ネットの底に残ってる——そんな話」
(暗転。BGMフェードアウト)
(SE:静かな電子ノイズのようなBGM。暗転からTwitter風の青白い光がゆっくり滲む)
「この『見』ってアプリに関する、二件目の報告が出たのは――2015年。
投稿されたのは、亡くなった人物・Aさんの弟を名乗る人からのツイートでした」
後輩
「亡くなった……? いきなり重い……」
(画面にツイートスクリーン風の演出)
部長
「Aさんはプログラマーで、趣味で同人ゲームも作っていた人。
フォロワーは3000人弱。投稿も頻繁だったけど、ある時から突然、更新が止まる。
そして3ヶ月後――“兄は亡くなりました”という弟さんの投稿」
後輩
「え……それだけでもゾッとするんですけど……」
部長
「弟さんによれば、遺体の状況は“異様”だった。
けれど警察は自殺として処理したそうです」
(BGMが静かにフェードダウンし、ノイズ混じりの環境音に)
「生前、Aさんが口にしていた“変わったこと”といえば――
『見』という、モザイク状のアイコンのアプリ。
“監視されている気がする”と怯えていて、最後にはスマホを捨ててしまったらしい」
後輩
「スマホを……? よっぽど怖かったんだ……」
部長
「もともとAさんはプログラミングもできる人。
だからこそ、アプリの動作を調べていた。そのうえで、“挙動が意味がわからなすぎて怖い”って言っていたそうです」
(画面にツイート引用風の黒地白文字)
「弟さんは、そのアプリが兄の死に関係しているのではないかと疑い、“なにか知っている方はいませんか”と呼びかけていました」
(演出:リプライが流れるように次々と表示)
「そこに反応したのが、Aさんの知人で“相談されたがそこまで深刻な事態とは思わず気にしていなかった。”というBさん。
Bさんの返信によると、Aさんはいろいろな作業をデスクトップPCで行っていたから、それがまだ残っているなら、何か彼が残した記録があるかもしれない、とのこと」
後輩
「なるほど」
部長
「そう。案の定、弟さんが確認したところ、いくつかのメモが残っていた」
(画面にモニターの光、テキストが一行ずつ表示される)
「・アンインストールしても戻る
・アプリ名を変更できない
・夜中に勝手にアプリが起動
・画面は真っ黒
・放置していたらアイコンのノイズが少しずつ明るくなっていく
・暗闇の中にぼんやりと光が灯り、なにかが“見えた”“聞こえた”
・画面の暗闇の奥で、なにかが蠢いている
・意味不明な文字化け通知が連続で届く」
(BGM:低音のうねりが入る)
後輩
「……やば……なにがみえたんですかね……」
部長
「それについてはここでは書かれていなかったみたいだね。アイコンのスクリーンショットが残っていて、この時の画像とされるものが今でもネットで見られる。これ。アイコンが、確かに確認できる」
(スマホのアプリが並ぶ画面に、青と黒のモザイクのアプリアイコン。『見』と書かれている)
「さらに、Aさんの同人仲間で音楽担当だったCさんからのリプライもあってね」
後輩
「ふむふむ」
部長
「Cさんいわく、“音信不通になる直前に、Aさんを名乗るアカウントからなにか音を録音したので解析してほしいとDMで連絡があったが、そのときは不審に思って放置してた”とのこと。
“今思えば、おそらく焦って端末交換などしたと思われるので、アカウントが引き継げていなかったのだろう”
“送られたファイルはまだ残っているので、少し確認してみる”。
そして、Cさんは再生速度とか周波数なんかを調整して確認したようです」
(DM風エフェクト。音声波形グラフィックが浮かび上がる)
「すると、ノイズに混じって確かに声が聞こえた」
(しばし沈黙)
「“あかりはしずめ
やみよはうかべ
さかびのみぬしにささぐるは
ひとのみ ひとのみ ひとのさち”」
(BGM完全停止。2秒の無音)
後輩
「……なに、それ……呪文……?」
部長
「わからない。
でも実はこの時アップされた音源とされるものは、なぜかYouTubeにあります。お勧めしませんのでリンクなどは貼りませんが、聴きたい人は自己責任でどうぞ。
それで、Cさんが最後に残した投稿が
“あれ、聞いていいものじゃなかったかも”
というもの。おそらくその音源のことと思われます」
(沈黙のあと、BGMがゆっくり戻る)
後輩
「……最後……?」
部長
「うん。その音源を弟さんへ渡したCさんも、やがて連絡が取れなくなった」
(映像:黒い画面の中央に、ぼんやりとアプリアイコンの光だけが残る)
後輩
「……Cさ~ん。それって、わたしたちもやばくないですか?聞いちゃった……」
部長
「聞いちゃったね。まあ、私たちは電子の世界のまんじゅうだし何とかなるでしょ。
でも、2012年と2015年、時期も場所も違うのに、同じ“黒いアプリ”が語られている。それが偶然とは、ちょっと思えないよね」
(少し間を置いて)
「ということで、次は――この『見』アプリが再び現れる、2017年の記録を見ていきます。」
(SE:低い電子音がフェードアウトし、闇に沈む)
「『見』というアプリに関する三つ目の報告は、2017年。
某匿名掲示板に投稿された、ある“社内メールのリーク”から始まりました」
後輩
「社内メール? どういう内容なんですか……?」
部長
「投稿したのは、中古スマホの再整備、いわゆるリファービッシュ作業をしていた人物、Dさん。書き込まれたのは技術系のスレ。内容は」
(掲示板UI風スクロール。テキスト演出)
ナレーション
「“ロットNo.388の個体に、どうしても説明のつかない挙動があった”」
「確認されたアプリの名前は『見』」
「だが、端末上のインストール記録にその名称は存在せず。」
「アンインストールしても、数時間〜数日で勝手に復活」
「工場出荷状態に戻しても同様」
「再現性はなく、記録も取れないため、再整備不可と判定」
後輩
「ちょっと……それ、普通に考えてアプリの仕様とかじゃないですよね……」
部長
「社内メールには、アプリのアイコンと通知ログのスクリーンショットも添付されていたとのこと。
画像は投稿されていないけど、Dさんの説明では、アイコンは黒と青のノイズ。通知は文字化けだらけで、意味がまったくわからない」
後輩
「私たちは知ってるから“あれだ”って思うけど、知らなかったらまだギリ“変なスマホあるな〜”で済みそうだけど……なんでそんな投稿したんだろ……?」
部長
「Dさんが掲示板に書き込んだ理由は、その端末の調査をしていた先輩社員が、“あれはおかしい”“知ってはいけないもの見せられてしまった気がする”と、明らかに様子がおかしくなっていったから」
後輩
「……知ってはいけない……」
部長
「そう。そして、その先輩は突然、出社しなくなり……音信不通になってしまった。そこで手掛かりがわからないかと書き込んだ」
(BGMが低く沈む。投稿再現風の書体で「数日後──」)
「数日後、スレッドにDさんから続報が届いた。“先輩が遺体で発見された”と。
場所は、静岡・沼津の海沿いにある防風林。」
(映像:風の音、揺れる松林の影。カットアウト演出)
「発見時の遺体の状況は、“異常そのものだった”らしい。」
(BGMが一瞬だけ完全に止まり、沈黙。数秒間の闇)
後輩
「どんなふうに異様だったんだろう…知りたいような知りたくないような…」
部長
「Dさんは、詳細は語っていないんだけど、“あんなものが自殺のわけがない”と書いていました。でも、警察は迷わず“自死”と判断したと」
(BGM再開。掲示板UIに戻る)
「その報告以降、スレは加熱した。
誰かが言い出した。“このアプリ、前にも話題になってなかった?”
■ppleサポートの掲示板、2012年のあの書き込み。
Twitterで“兄が亡くなった”と投稿された2015年の件。
過去の『見』アプリに関する報告が次々に掘り起こされていった。」
後輩
「……つながってきてる……」
部長
「そして、さらにひとつ、気になる発言があった。
“00年代にも、似たような話があった。パソコンに勝手に『見』っていう一文字のソフトがインストールされてた。”
“その話題を出す人は、必ずいつもいなくなる。だからタブー扱いされてた”」
後輩
「え……スマホが出る前から……?」
部長
「そう。この書き込みを信じるなら、デスクトップパソコン時代にも在ったらしい。
スレは一時期、考察で盛り上がったけれど、新しい証拠や決定的な話は出ないまま、静かに落ちていった。」
(画面に「404 Not Found」風演出)
「今はもう、スレッドも消えていて。まとめサイトにも、あまり転載されていない。残っているのは、断片的なスクリーンショットと、噂だけ。」
(映像:闇の中に、黒い円形アイコン。青白い光が脈打つ)
「でも、この件でひとつだけ、確実に言えることがある。」
後輩
「……なに?」
部長
「このアプリがスマホにインストールされちゃった人、たぶん誰も無事では済んでいない」
(数秒の沈黙。BGMが静かにフェードアウト)
「というわけで、『見』アプリに関する2017年の報告でした。」
後輩
「2012年のApple掲示板、2015年のTwitter、そして2017年の掲示板スレ……
ぜんぶバラバラの場所なのに、共通して“戻ってくる謎のアプリ”の話が……」
部長
「そう。しかも、調べようとした人間が消えていく」
(SE:ザザッというノイズ。画面が暗転)
「さて、ここまで『見』アプリを巡る不可解な現象を追ってきましたが──
2020年頃からは、さらに“形”を変えて現れるようになります。」
後輩
「形を変える?」
部長
「きっかけは、TikT■kの流行。囁かれた“噂”がありました。」
(画面にTikTok風のUI。コメント欄が流れる演出)
「“深夜、TikT■kをスワイプしていると、突然画面が真っ黒になり、暗い部屋の映像が映ることがある。”
でも、なにが見えるかは証言ごとに違ったり、曖昧だったみたい。
“猫のような何かが、形を変えながら画面いっぱいに広がった”
“暗い窓から、目だけを出してこちらを見ている何かがいる”
“黒い部屋で、大柄な女が小柄な男に覆いかぶさっている。
それは性行為にも見えるが、もっとおぞましい行為にも見える。男の悲鳴、生々しい湿った音。やがて静かになる”
“画面いっぱいに蠢くなにか”」
後輩
「どれもかなり不気味ですね……でも、TikT■kならすぐスワイプして次に行っちゃえばいいだけですよ。わたしもたまにそういう見たくないものが流れてきて、そうするときありますし」
部長
「うん。だけど、残念ながらこの動画はスワイプもタップも効かず、再生が止められない。スマホが完全に制御不能になる。」
(SE:電子ノイズが急激に強まり、画面が点滅)
後輩
「困ります!」
部長
「唯一の対処法は、電源を切ることだけ。
つまり、“強制再生される動画”。」
後輩
「めんどくさすぎる……。
で、そのあとに姿を見なくなるって話、ですよね?」
「そう。
“見た”と話していた人が、学校や職場に来なくなる。
SNSでは投稿が止まり、DMも返信がなくなる。
“共通の知人に聞いたら、最近見かけてない”
そういう断片的な報告と噂が、複数SNSで確認されている」
(画面にタイムライン演出。投稿が次々フェードアウトしていく)
後輩
「なんだかまるで、“画面の中に引きずり込まれてる”みたい……」
(BGMが薄暗い調子のものに変化)
部長
「実は、似たような映像の都市伝説が、もっと前1990年代にも報告されています。」
後輩
「えっ、1990年代って、スマホ以前にインターネットもなくないですか?」
部長
「そう。西日本から北陸、東海地方にかけて、“深夜の暗室放送”の噂があった」
(映像:古いブラウン管テレビ。砂嵐。静電気のパチパチ音)
後輩
「テレビの時代に…?暗室…?」
部長
「テレビをつけっぱなしでカラーバーのまま寝ていると、砂嵐の画面になって、やがて突然“放送が始まる”。
見た者の証言は少ないが、内容にはいくつかの共通点と相違点がある。
まず共通点。
映像は、暗い部屋に仄かなあかりが灯り、ノイズ混じりの音声とともに、何かが映し出される。暗室、っていうとフィルムカメラの現像用の部屋のイメージだけど、ここではおそらくただ“暗い部屋”って意味だと思う」
(画面がノイズで揺れながら、断片的な映像が点滅する)
「相違点は、その後に“見た”という内容。TikT■kのやつと同じ。
・はじめは猫のシルエットだったものがこちらに歩いてきてやがて変形し、異形となって画面いっぱいに蠢く。
・大柄な女が小柄な男に覆いかぶさり、貪るように何かを食んでいる。それは性行為にも見えるし、捕食にも見える。男の断末魔、湿った生々しい音──やがて静かになる。
・何か触手のようなものが、暗い画面いっぱいにみっちりと蠢く
・窓の向こうから“目”だけがのぞいて、視聴者を見つめる。」
後輩
「……ほんとうにびっくりするほどTikT■kのやつと同じですね……」
部長
「うん。当時は地方局でしか起きなかったらしく、東京などの都市部では報告がほとんどなかった。
けれど、“見た人は無事で済まなかった”という点は、共通している」
(ブラウン管の映像がゆっくりフェードアウト。現代のスマホ画面が点灯する)
「つまり、この『見』と呼ばれる映像現象は、パソコンよりも前、スマホのはるか前から、“媒体を変えながら”存在していた可能性がある」
後輩
「……受け継がれてる?……“画面”っていう形で」
(SE:画面にノイズが走る。短い沈黙)
部長
「さて、この頃書かれていたさまざまな考察でおもしろかったのは、デジタル経由の憑依現象、つまり“情報を媒体とした乗っ取り”のようなものでは?
『見』というアプリのような“情報の器”を通して、古くから存在する何かが形を変えて現れているのではないか?というもの」
後輩
「それって……“媒体”が変わっても、“出てくるもの”は同じってこと……?」
部長
「そうかもしれないって話。
というわけで、まとめと考察です。
ここまで見てきたように、『見』アプリをはじめとした現象にはいくつかの共通点がありました。」
(画面に簡易箇条書き)
「・アイコンは、青黒のモザイク。
・開いても真っ黒な画面だけで、何も反応がない。
・削除しても、戻ってくる。
・でも本当に怖いのは、そこじゃない。
──“その後”の話です。」
後輩
「アプリが入ってた人たち、みんな……なんらかの“決定的な影響”を受けてるんですよね……」
部長
「はい。報告のほとんどは、本人以外の第三者から。
そして、本人が書き込んでいた場合、その後、100%、続報が途絶えている」
(映像:SNS投稿の途切れ、未読DM、まとめサイトのスクショなどが淡く流れる)
部長
「2010年代に現れた異常なアプリ。
そして今では、“アプリ”という形を持たず、SNSや動画、もしかしたら検索ワード、あるいはひょっとしたら生成AIといった“プラットフォーム”そのものに拡散しているようにも見える」
後輩
「じゃあ……もう、“どこにでもいる”ってこと?」
部長
「技術が進化するにつれて、怪異も進化する。媒体を変えながら、生き延びていく……そう考えた方が、自然かもしれないね」
(少し間を置いて、声を抑える)
「報告数は少ない。だからこそ、どこまでが本当かは分からない。
正直、全部がフェイクだと思いたい。
でも……似すぎている」
後輩
「うん……さすがに偶然ってレベルじゃないですよね」
部長
「そして、気になるのが──あの“言葉”。」
(画面に黒背景+白文字、ゆっくりとスクロール)
あかりはしずめ
やみよはうかべ
さかびのみぬしにささぐるは
ひとのみ ひとのみ ひとのさち
「意味は不明。
でも、あまりにも整っている。
ノイズの中から“偶然”聞こえたにしては、ね……」
後輩
「フェイクかもしれないけど、
でも──聞いたら、ちょっと……ぞわっとしたのは、たしかです……」
(少し間を置いて、ぽつりと)
「……ねえ部長、この言葉って、どう思いました?」
部長
「うーん……
“あかりを沈めて、闇夜を浮かべる”──
つまり、夜に逆戻りさせるってことかな。
世界を、闇に還す儀式……みたいな。」
後輩
「“さかびのみぬし”って、なんか、名前っぽくないですか?」
部長
「うん。
“さかび”……逆火、逆さの火。
普通とは逆に燃える光、とか……
何か、こっちの世界じゃない存在の象徴かもね。」
後輩
「で、その“主”に捧げるのが……
“ひとのみ、ひとのみ、ひとのさち”……」
「ねえ部長……最後の“ひとのみ”ってさ……」
部長
「うん?」
後輩
「“人を、一呑み”ってことなのかな、って。
こう……あっちの世界の何かが、人間を、
“ひとくちで、ぐわっ”て、飲み込む……みたいな……」
(沈黙。虫の声だけが続く)
部長
「……いや、“一呑み”じゃなくて“人の身”のほうじゃない?」
「“さち”って、幸せの“幸”でもあるけど、
もともとは“獲物”とか“捧げもの”って意味もある。」
後輩
「つまり……人の命、人の“幸福”までも……?」
(しばし沈黙)
「でもでも……乙女目線で読むと、ちょっと違うんじゃないかなって……」
部長
「……乙女目線……?」
後輩(目をキラキラさせて)
「“あかりはしずめ”──それって、
“キャンドルを吹き消して、心の灯りを閉じる”ってことでしょ?」
部長
「……ほう」
後輩
「“やみよはうかべ”は、“夜の静けさに身をゆだねて眠る”って意味で……
“さかびのみぬし”は、“逆さまの世界にいる、孤独な王子様”!
夜にしか会えない、夢の中の恋人って感じじゃないですか?」
部長
「……かなり思い切った方向にいったね……」
後輩
「で! “ひとのみ ひとのみ ひとのさち”は……
“人の実”、つまり“人の心の中にある果実”のこと!
それを捧げることで、夜の王子様と心が通じ合うっていう……!」
部長
「……完全に恋愛詩じゃん。」
後輩
「ふふふ……これはつまり、“恋に堕ちるための、夜の召喚詩”だったのです……!」
部長
「はいはい、アヤちゃんはもう“夢見がちな中二ロマンス”ってことで……」
後輩
「えっへへ……でもさ、意味分かんないときって、
自分にとっていちばん優しい解釈しとくのが正解って思いません?」
部長
「まぁ、それも“呪いを遠ざける術”かもね。
……この言葉、本当にいちばん怖いのは、“意味が分かってしまうこと”かもしれないし」
後輩
「……やだ、分かんないままでいたいです……」
部長
「同感」
(BGMが沈黙を挟んで、ふたたび静かに戻る)
「もしも、この青黒のアイコンをどこかで見かけたら……
絶対に触らず、スクショだけ撮って、
この動画のコメント欄に“オカ研部長宛”で連絡ください。」
後輩
「絶対触りません!」
(BGMがふわっと明るめに切り替わる)
部長
「というわけで今回は、“黒いアイコンのアプリ”についてご紹介しました。」
後輩
「いや〜……不気味でした……なんでアプリがインストールされるのかがわからないのが怖いなあ…対策の立てようがないですもん」
部長
「夜ふかしのついでに見てくれてありがとう!
よかったらチャンネル登録と高評価、ぜひお願いします〜!」
「それではまた次回、“ミッドナイト・オカルト研究会”でお会いしましょう。」
二人(重ねて)
「おやすみなさい──」
(エンドカード:暗い夜道、タイトルロゴ → 通常の明るめエンディング画面に切り替わる。BGMフェードアウト)
アンノウン・オカルト・ドキュメンツ・ファイル 小境震え @kozakai_fulue
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