所謂『見るなの座敷』を底本とした不気味なホラー。各階に止まるエレベーターの扉が開く度にスポットライトで照らされたような夢の切り取りのような〝モノ〟が存在している。それは徐々に主人公の気を惹くようなものへと、階層が上がる度に、扉が開く度に。最後に夢は、悪夢に変わる。しかしながら、あの貼紙を貼ったのは、〝誰〟なんでしょうねえ……?
もうすぐ、下に赤ん坊がうまれる、おさない少年。彼が住むマンション、エレベーターの前に貼ってある注意書き。日が経つにつれて、そのエレベーターの扉が勝手に開くことが増えて、そして、ある日……。胸の奥底に封じこめていたはずのちいさな不満が、目のまえに、そして現実に出現する。そんな恐怖。
しみじみと考えさせられるお話です。せっかく読みやすい文章で、読みやすい長さに収められていますので、内容については触れずにおきます。とにかくいろいろな捉えようのできるお話で、結末がそれまでの出来事のすべてに意味を持たせ、そして結末自身に対して理由を探させる、ずっしりとした作品です。あの結末がどのようにして引き起こされたのか、しばらく考えを巡らせられそうです。
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