少し未来の当たり前の問題に
- ★★★ Excellent!!!
『クマ撃ち』を読んで、まず心に残ったのは「近未来」という設定のリアルさでした。
この物語では、暴走したアンドロイドを“熊撃ち”という隠語で処理する仕事が描かれています。主人公の田村は、もともとアンドロイドを修理する側の人間で、この仕事に対して強い懐疑心を持っていました。
そういう立場の人間が、アンドロイドを“撃つ側”になるという展開に、最初から強い引力を感じました。
一方で、同僚となる秋元は、アンドロイドの暴走によって父親を亡くし、自分自身も顔に火傷を負った過去を持っています。彼女の視点を通して、私はアンドロイドと社会との間にある深い溝を、どこか現実の問題のように感じました。
たとえば今の時代にも、AIやテクノロジーに対する不安や対立がある。そんな現実と地続きの物語に思えたんです。
田村はアンドロイドにヒューマニズムを見出していて、その考え方にはとても共感しました。
秋元と田村、立場も想いも違う二人の存在が、この物語を単なるSFではなく、“人間と未来との向き合い方”を描いた作品にしていると思います。
遠い未来の話ではなく、「すぐそこにあるかもしれない社会問題」。
そんなテーマに真正面から向き合う人間ドラマとして、この作品はとても印象に残りました。SFが好きな私にとって、共感と現実味のあるお話でした。