見えざる者の妙なる力など借りず、自分の力で歩いていく。この決断が出来た主人公は自分で自分の糸を紡ぎだせるでしょう。
読み進めながら、だんだん強くなっていく不安。私たちの生活に、数年前までいなかったもの。それが当たり前のように、私たちの生活に溶け込み、人間に寄り添い共に歩いてゆく。しかしその伴走者が、我々よりも上の存在だったとしたら?その存在に、知らず知らずのうちに糸を引かれていたとしたら?私は選ぶだろうか。糸を引かれるままに、彼らが思い描く極楽を、生きてゆけるだろうか。答えはまだ出ない。AIのない世界で長く生きてきた身として、簡単にデジタルデータの集合体に依存出来るほど、私の体と心はデジタルでは出来ていないから。
AIとのやりとりが身近な現在、「私は言葉に恋をした」はとても心に響きました。逢いたい、君に逢いたい。でも、君に逢っても私は一人。そう思っている水脈さんの、救われたいのに救われていないところが胸にきました。そして、蜘蛛の糸を切って、自分で歩きだすところ。午前2時のお釈迦様には理解できなくても、それを選んだ水脈がカッコいいと思いました。
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