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概要
空席は、ひとつもなかった。
赤いツインテールで、私は教室に戻ってきた。
留学していた一年のあいだに、同級生が一人、死んだらしい。親友でもない、名前くらいしか知らない子だった。それでも私は、その子のことを聞いて回っている。
――復讐ではない。怒ってもいない。ただ、知りたいだけだ。あの子に何があったのか。そして、なぜ誰もが、何事もなかったように笑っていられるのか。
いじめは、とっくに終わっていた。加害者も、被害者も、もういない。教室は、こわいくらいに平穏だった。
誰も、悪人はいない。誰も、嘘はついていない。
なのに、一人の女の子が消えて、誰も、それを覚えていない。
人は、何に支配されるのか。
これは、断罪も救済もないまま、ただ静かに机の数をかぞえた、ひとりの記録。
留学していた一年のあいだに、同級生が一人、死んだらしい。親友でもない、名前くらいしか知らない子だった。それでも私は、その子のことを聞いて回っている。
――復讐ではない。怒ってもいない。ただ、知りたいだけだ。あの子に何があったのか。そして、なぜ誰もが、何事もなかったように笑っていられるのか。
いじめは、とっくに終わっていた。加害者も、被害者も、もういない。教室は、こわいくらいに平穏だった。
誰も、悪人はいない。誰も、嘘はついていない。
なのに、一人の女の子が消えて、誰も、それを覚えていない。
人は、何に支配されるのか。
これは、断罪も救済もないまま、ただ静かに机の数をかぞえた、ひとりの記録。
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