敢えて作品に不利となることを申せば、収められた短歌の一つ一つは屹立も自立もしていません。一首が三十一文字、十首揃えて原稿用紙二枚に足りぬ。そこに浮かび上がるは歴史。短歌の歴史。そうだ。短歌はこのように時の流れを生き延びてきたのだ。そのように思えるだけで読者は日本文学の素養があると言えます。と言えば評者の自慢となりますから、言えるかも、そう言い添えます。短歌は長い時をかけて現在位置に辿り着きました。そして未来へと続きます。
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