概要
ここに、ひとり
その日、地球は生まれてから第2,000,000,000,000回転目に入った。その六分後に、ぼくは目を覚ました。
目覚ましより早く起こしたのは、音だった。正しくは、あるはずの音がない、ということ。鳥が、一羽も鳴いていなかった。
ひと晩で、ぼく以外のいきものが消えた世界。死体はひとつもない。ベッドには、寝ていた人の形にへこんだ布団だけが残っている。
電気が、通信が、水が、順番に死んでいく。建設現場で働いていたぼくの手と、調べずにいられない性分だけが、ぼくを生かしていく。
誰も読まないと知っていて、ぼくは書く。件名に「Re:」をつけて。
——これは、世界が人間という臓器をひとつ失って、それでも百年生きのびた、その寿命の記録。
目覚ましより早く起こしたのは、音だった。正しくは、あるはずの音がない、ということ。鳥が、一羽も鳴いていなかった。
ひと晩で、ぼく以外のいきものが消えた世界。死体はひとつもない。ベッドには、寝ていた人の形にへこんだ布団だけが残っている。
電気が、通信が、水が、順番に死んでいく。建設現場で働いていたぼくの手と、調べずにいられない性分だけが、ぼくを生かしていく。
誰も読まないと知っていて、ぼくは書く。件名に「Re:」をつけて。
——これは、世界が人間という臓器をひとつ失って、それでも百年生きのびた、その寿命の記録。
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