読み終えたあと、最初の月夜をもう一度見返したくなる作品でした。最初は「人狼」の物語だから激しいバトルが続くのかなと思って読み始めたのですが、気づけば静かな空気そのものに引き込まれていました。
特に、目覚めた和室の木の匂いや、倉臼という家に流れる時間の描写が忘れられません。あの穏やかさがあるからこそ、胸に残る痛みや違和感が何倍にも膨らみ、「この人はいったい何者なんだろう」と自然にページをめくっていました。恐怖を大きな音で演出するのではなく、静寂の中へそっと忍ばせる表現がとても印象的です。
読み終えた今、序盤の何気ない一場面まで違った意味を帯びて思い返されました。静かな余韻が好きな方や、人と人ならざる者の距離が少しずつ変わっていく物語が好きな方には、ぜひ手に取ってほしい作品です。
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