概要
少年は、誰にも覚えてもらえない。 少女たちは、それを許さなかった。
誰かを助けるたび、その記憶ごと、世界から消えていく。神格鑑定局・遮断課の霧島透真は、記録にも記憶にも残らないまま、街の神格事件を片づけ続ける男だ。彼を覚えていられるのは、もう、人ではないものだけ。
二十年前、忘れられていく彼を忘れたくなくて、三人の少女は腕に刻み、写真に焼きつけ、喉を潰して名を呼んだ──そして、ひとりずつ「人でないもの」になった。願いが叶ったいま、因果は逆転する。彼女たちを、今度は彼が、毎朝忘れていく。
ヒトの記憶には残らず、カミの記憶は失う。神格鑑定士としては最適、人としては歪な彼と人ではなくなった彼女たちの物語。
二十年前、忘れられていく彼を忘れたくなくて、三人の少女は腕に刻み、写真に焼きつけ、喉を潰して名を呼んだ──そして、ひとりずつ「人でないもの」になった。願いが叶ったいま、因果は逆転する。彼女たちを、今度は彼が、毎朝忘れていく。
ヒトの記憶には残らず、カミの記憶は失う。神格鑑定士としては最適、人としては歪な彼と人ではなくなった彼女たちの物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!覚えていたくて、壊れていく。思いあうということの、もうひとつの顔。
誰かを忘れたくない、という気持ちは、こんなにも人を追い詰めるのか。読み終えてしばらく、その問いが頭から離れなかった。
透真はただ親切だ。誰にでも、同じように、静かに。見返りを求めず、覚えていてほしいとも思わない。その優しさが、受け取った少女たちにとっては、じわじわと効いてくる毒になる。特別ではない、とわかった瞬間の、胸がすうっと冷える感覚。この小説はそういう細かい場所を、ちゃんと知っている。
三人がそれぞれ、紙に書き、写真に写し、声に録る。それでも朝が来るたびに忘れてしまう。だったら次は、という切迫感に論理があって、読者はその論理についていってしまう。気づいたときには、少女たちは、…続きを読む