概要
「あたしは忘れない。あの暑い夏の日、にわか雨の中で見たことを」――長尾智子
群馬県中之条町に暮らす小学五年生の智子、吉清、伸行の三人は、夏休みの自由研究をきっかけに「川のはじまり」を探す冒険へと向かう。
自転車で山道をのぼり、ため池を越え、地図にもない細い道を進む。
照りつける陽射し、にわか雨、濡れた草の匂い――いつも見慣れた町のすぐそばに、知らない世界が広がっていた。
ほんの半日の探検のはずだった。
けれど三人はそこで、「忘れられないもの」と出会う。
青春の入口に立つ三人が歩いた、あの夏の小さな大冒険。
※この物語は『トモコの魔法のバトン』の前日譚ですが、単体
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!小学生仲良し男女の夏休み、ミステリアスな冒険譚
小学生の仲良し三人組、智子と吉清と伸行が、夏休みの宿題(自由研究)のために地元の川の源流を探索する冒険に出ます。
しかし川を遡ると、そこには知られざる滝があり、オカルト的な体験をして逃げ帰る三人、…しかし智子はその場所におばあちゃんから貰った大切な髪留めを忘れてきてしまう。
…いかにも夏に相応しいストーリー展開ながら、この物語が素晴らしいのは、何より子供たちそれぞれのキャラクターが丁寧に描かれている点です。
小学五年生の男の子のカッコつけた可愛さや、智子の女の子としての恥じらいや不安、女性意識の芽生えなどが瑞々しく描かれています。
この作品を読む大人たちは皆、子供時代の記憶や感性など…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ひと夏の思い出は、ひぐらしの鳴くころに
夏休みの自由研究を友達と冒険しながら未知なる世界を描いていく素敵な物語です。
「川のはじまり」を探す冒険に出かける小学五年生の智子、吉清、伸行の三人。
きっかけは川の上流のはじまりは地図には載っていないという事実。先生が教えてくれた誰も知らない冒険の扉。それを開ける楽しさを胸に、三人が旅に出る心踊るストーリーに多くの方が惹き込まれるでしょう。
この展開手法が素晴らしいのは、若かりし頃の忘れていた記憶がある種のノスタルジーと重なり、追憶の情景として蘇る心地よさを覚えるからです。
夏特有の哀愁を帯びる、晩夏のひぐらしの鳴き声。
仲間とともに未踏の地を拓いていく冒険心。
これらの駆り立てる心理…続きを読む - ★★★ Excellent!!!新しくて懐かしい、三人のひと夏の冒険
子どもたちのひと夏の冒険を描いた、心温まる物語でした。
三人の小学五年生が、思いつきのまま行動して、失敗して、悩んで、それでも自分たちなりに考えながら前へ進んでいく姿がとても印象的です。
大人から見れば、まだまだ小さな子どもたち。
けれど彼らの世界には、彼らにしか分からない悩みや勇気があって、その中で誰かを助けたり、助けられたりしながら少しずつ成長していく。
そんな姿を読んでいると、自分が子どもの頃に感じていた夏休みの特別感や、いつもの日常が少しだけ冒険に変わる感覚を思い出しました。
懐かしさを感じながらも、今の時代の子どもたちの物語として新鮮に楽しめる作品です。
子どもたちの小さ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!三人の小学生の、小さな冒険と小さな成長の物語
三人の小学五年生の子どもたちが、夏休みにちょっとした冒険をして、ちょっとした成長をする物語でした。
時代設定がそれほど古くないのに、自分の子供時代を思い出してしまう、子どもの世界って時代や場所を越えて変わらないものなのかな、という希望を含めた想いに浸ることができました。
思いつきで動いて、失敗して、それを取り返して、誰かが誰かを助ける。
自分が子どもの頃を思い出しつつ、これくらいの歳の頃ここまで自分はできたかなあ、と少し尊敬の思いも抱きつつ、最後まで楽しませてもらいました。
新しくて懐かしい物語、読ませていただきありがとうございます!!