小学生の仲良し三人組、智子と吉清と伸行が、夏休みの宿題(自由研究)のために地元の川の源流を探索する冒険に出ます。
しかし川を遡ると、そこには知られざる滝があり、オカルト的な体験をして逃げ帰る三人、…しかし智子はその場所におばあちゃんから貰った大切な髪留めを忘れてきてしまう。
…いかにも夏に相応しいストーリー展開ながら、この物語が素晴らしいのは、何より子供たちそれぞれのキャラクターが丁寧に描かれている点です。
小学五年生の男の子のカッコつけた可愛さや、智子の女の子としての恥じらいや不安、女性意識の芽生えなどが瑞々しく描かれています。
この作品を読む大人たちは皆、子供時代の記憶や感性などが少なからず呼び覚まされて、ノスタルジックな気持ちをくすぐられることでしょう。
冒険の結末とオカルト体験の謎ときはきちんと最後に描かれていて、好感のもてるストーリーになっています。
素晴らしい作品でした。
夏休みの自由研究を友達と冒険しながら未知なる世界を描いていく素敵な物語です。
「川のはじまり」を探す冒険に出かける小学五年生の智子、吉清、伸行の三人。
きっかけは川の上流のはじまりは地図には載っていないという事実。先生が教えてくれた誰も知らない冒険の扉。それを開ける楽しさを胸に、三人が旅に出る心踊るストーリーに多くの方が惹き込まれるでしょう。
この展開手法が素晴らしいのは、若かりし頃の忘れていた記憶がある種のノスタルジーと重なり、追憶の情景として蘇る心地よさを覚えるからです。
夏特有の哀愁を帯びる、晩夏のひぐらしの鳴き声。
仲間とともに未踏の地を拓いていく冒険心。
これらの駆り立てる心理的な働きかけが何ともいえない寂寥感と高揚感を生み、ひと夏の忘れられない映像として浮かび上がらせる筆力に心打たれました。
また、三人の役割も明確で、それぞれの存在が独立していながら共通の目的に向かって協働していく描写に胸が熱くなりました。
智子は冒険の記録に残そうとスケッチブックを手に絵を描き、吉清は流れ出る水量の測定や分析に精を出し、伸行は勇猛に先頭を切って未開への好奇心を燃やし邁進していく。
男女間での異なる精神性の在り方も丁寧に描かれ、読むにつれ三人への愛着が深まっていく点も追体験としての実感を伴うもので、満足感がとても高いと感じました。
最後になりますが、納涼としての側面も併せ持つエピソードも挟まれ、読者に想像の余地を残している終盤も印象深い本作。
読後感として夏の名残が静かに熱をもって降り積もっていく、戻ることのないノスタルジーの恋しさ。それは夕暮れの優しい風と心に棲み慕うひぐらしの鳴くあの夏に似ているのかもしれませんね。
青春一歩手前の少年少女が織りなすひと夏の冒険譚。
きっとそれぞれの人生の懐かしいひとときを思い出すことでしょう。
素敵な小説をありがとうございます。
【レビューコンテスト応募】
子どもたちのひと夏の冒険を描いた、心温まる物語でした。
三人の小学五年生が、思いつきのまま行動して、失敗して、悩んで、それでも自分たちなりに考えながら前へ進んでいく姿がとても印象的です。
大人から見れば、まだまだ小さな子どもたち。
けれど彼らの世界には、彼らにしか分からない悩みや勇気があって、その中で誰かを助けたり、助けられたりしながら少しずつ成長していく。
そんな姿を読んでいると、自分が子どもの頃に感じていた夏休みの特別感や、いつもの日常が少しだけ冒険に変わる感覚を思い出しました。
懐かしさを感じながらも、今の時代の子どもたちの物語として新鮮に楽しめる作品です。
子どもたちの小さな冒険と、そこから生まれる大きな成長を、最後まで楽しく読ませていただきました。
素敵な物語をありがとうございました!
三人の小学五年生の子どもたちが、夏休みにちょっとした冒険をして、ちょっとした成長をする物語でした。
時代設定がそれほど古くないのに、自分の子供時代を思い出してしまう、子どもの世界って時代や場所を越えて変わらないものなのかな、という希望を含めた想いに浸ることができました。
思いつきで動いて、失敗して、それを取り返して、誰かが誰かを助ける。
自分が子どもの頃を思い出しつつ、これくらいの歳の頃ここまで自分はできたかなあ、と少し尊敬の思いも抱きつつ、最後まで楽しませてもらいました。
新しくて懐かしい物語、読ませていただきありがとうございます!!