第39話「金曜、白音と、お茶を、飲んだ件」
金曜日の朝、悠真が、キッチンに、降りると、白音が、すでに、いた。
縁側ではなく、キッチンに。
(先週と、同じ、流れ)
(白音さん、自分の日、楽しみにしてくれている)
「白音さん、おはようございます」
「悠真くん、おはよう」
白音が、お茶を、淹れてくれた。
澪のコーヒーとは、別。
澪が、コーヒーを、淹れていた。
(朝、二人、淹れてくれている)
(贅沢な、朝)
「澪さん、白音さん、ありがとうございます」
「お礼、いらない」と、二人が、同時に、言った。
「ふふ」
(百鬼荘、口癖、二人、揃って)
(俺、嬉しい)
---
紅も、降りてきた。
「悠真くん、おはよう」
「紅さん、おはようございます」
紅が、ふっと、悠真を、見た。
「悠真くん、昨日、みつきちゃんと、話したって?」
「みつきさんから、聞きましたか」
「ううん、本人」
(紅さん経由)
(みつきさん、紅さんに、ろくろ首の、相談、共有している)
(家族、感、強い)
「みつきちゃん、神代と、来週、会う、らしい」
「ろくろ首コミュニティの、件、ですよね」
「うん」
「神代、ちゃんと、調整してくれる」
(紅さん、神代さんを、信頼している)
(紅さんの、神代さんへの、信頼、深まっている)
(紅さんが、神代さんを、選ぶ、可能性、より、現実的)
白音が、しばらく、聞いていた。
「みつきちゃん、いい変化、ね」
「はい」
「悠真くんの、影響」
「俺、ですか」
「うん。あなた、知らないうちに、家族、全員、動かしてる」
「……」
(白音さんも、紅さんと、同じ、こと、言う)
(俺、家族、全員、動かしている)
(責任、重い)
(でも、悪い影響じゃ、ない、と、信じる)
---
午前、悠真は、仕事を、していた。
白音が、縁側で、お茶を、飲んでいた。
見える、距離。
(白音さん、見守ってくれている、感じ)
(自分の日、なのに、押し付けがましくない)
(百年生きた、白蛇の、ペース)
昼前、悠真が、仕事を、一段落、つけて、縁側に、行った。
「白音さん、お疲れ様です」
「悠真くん、お疲れ様」
「俺、見守られていましたか」
「……ふふ、見ていただけ」
「ありがとうございます」
「お礼、いらない」
(白音さんも、口癖、健在)
悠真が、白音の、隣に、座った。
白音が、お茶を、淹れてくれた。
「悠真くん、今日、何、する?」
「白音さんが、決めてください」
「……ふふ、毎週、そう言うわよね」
「皆さんに、決めてもらいたいので」
「分かった」
白音が、しばらく、考えた。
「……今日、私、新しい、こと、考えたい」
「新しい、こと?」
「うん」
(白音さん、新しい、こと、考えたい)
(傍観者、続けてきた、白音さん)
(新しい、何かを、始めたい)
---
白音が、お茶を、飲みながら、言った。
「悠真くん、私、最近、思ってる」
「何を?」
「……私、傍観者、楽しんでた」
「はい」
「でも、最近、それだけ、では、足りない、と、感じる」
「足りない?」
「うん」
「具体的には」
白音が、しばらく、考えた。
「みつきちゃんが、自分の、人生、進める、決意、した、こと、見てた」
「はい」
「みつきちゃん、ろくろ首の、仲間、探す」
「はい」
「私も、何か、したい、と、思った」
(白音さん、何か、したい)
(傍観者だけ、では、足りない)
(白蛇、自分の、人生、考え始めている)
(みつきさんの、影響)
「白音さん、何を、したいですか」
「……まだ、決まってない」
「分からない、ですか」
「うん。だから、今日、悠真くんと、考えたい」
「俺と、ですか」
「うん。あなた、相談役、最近、上手」
(白音さん、俺を、相談役、として、認めてくれている)
(白音さんに、教わった、こと、活かせている)
「お願いします」
「ふふ、立場、逆転」
「33話で、最初に、逆転しましたよ」
「あなた、覚えてる」
(33話:白音さんの、過去を、聞いた、日)
(あの日も、聞き役、立場、逆転した)
(また、今日、立場、逆転)
---
「白音さん」
「うん」
「白音さん、社の、白蛇、として、何を、していましたか」
「人間の、悩みを、聞いて、ヒントを、出していた」
「はい」
「それ、好きでしたか」
「……好きだった」
「では、それ、続けましょう」
「続ける?」
「ええ。社、今は、ない、けど、別の、形で、続ける」
「具体的には?」
悠真が、しばらく、考えた。
「……白音さん、相談所、開いたら、どうですか」
「相談所?」
「ええ。妖怪、半妖、人間、誰でも、悩みを、相談できる、場所」
「……」
「白音さんの、ヒントを、出す、力、活かせる」
白音が、目を、見開いた。
「……それ、面白い」
「興味、ありますか」
「ある」
「では、考えましょう」
(白音さん、興味、持った)
(相談所、いい、アイディア、と思う)
(白音さんの、能力、活かせる)
(社の、白蛇の、新しい、形)
---
白音が、しばらく、考えた。
「悠真くん、相談所、どこで、やる?」
「百鬼荘、でも、いいかもしれません」
「ここで?」
「ええ。家、広い。空き部屋、ある」
「人、来る?」
「神代さん経由で、半妖、妖怪、紹介、可能、と思います」
「……」
「みつきさんが、ろくろ首の、コミュニティ、繋がるなら、その、コミュニティの、相談、白音さんが、聞ける」
「……それ、いい」
(白音さん、納得)
(百鬼荘、相談所、ある)
(半妖、妖怪、人間、悩み、抱える、人、来る)
(白音さん、ヒント、出す)
(家族、全員、巻き込む、活動)
「悠真くん」
「はい」
「私、これ、やりたい」
「やりましょう」
「ふふ、決まり、ね」
「決まり、です」
(即決)
(白音さん、新しい、人生、見つけた)
(傍観者、卒業、と言える、かもしれない)
---
昼、悠真と、白音は、お弁当を、食べた。
白音が、用意してくれた、お弁当。
「白音さん、料理、得意じゃ、ない、と言ってましたよね」
「うん」
「これ、おいしいですよ」
「……ましろちゃんに、教わった」
「ましろさんに?」
「うん。ましろちゃん、紅から、教わった、こと、私に、教えてくれる」
(座敷童が、白蛇に、料理を、教える)
(百鬼荘、料理、伝承、複雑)
(みんな、紅さんから、教わって、お互いに、教え合う)
「白音さん、料理、覚える、楽しい?」
「楽しい」
「では、相談所、お茶と、お菓子、出せそうですね」
「ふふ、考えてる」
「相談所、本格的、ですね」
「うん」
(白音さん、相談所、真剣に、考え始めた)
(具体的な、計画、立てている)
---
午後、悠真と、白音は、リビングで、相談所の、計画を、立てた。
紙と、ペンを、出して。
(フリーランスのエンジニア、要件定義、得意)
(俺、白音さんの、相談所、設計、手伝う)
*【百鬼荘 相談所 計画書(仮)】*
*1. 場所:百鬼荘の、空き部屋、または、縁側*
*2. 対象:妖怪、半妖、人間。誰でも*
*3. 担当:白音(相談役)*
*4. 紹介ルート:神代経由、みつき経由、その他*
*5. 料金:無料(白音さんの、自由意志で)*
*6. 時間:相談者の、都合に、合わせる*
*7. 守秘義務:百鬼荘で、聞いた、悩み、外に、漏らさない*
白音が、計画書を、見て、頷いた。
「悠真くん、まとめ、上手」
「エンジニアの、得意分野です」
「ふふ」
「白音さん、追加、ありますか」
「……一つ」
「何ですか」
「相談所、私だけじゃ、なくて、家族、全員、関われる、形に、したい」
「全員?」
「うん。紅、料理。みつきちゃん、情報。澪、雪女の、視点。ましろちゃん、座敷童の、視点。それぞれ、力、持ってる」
「悠斗くんは?」
「悠斗くん、半妖。半妖の、視点、持ってる」
「管理人さんは?」
「管理人、ぬらりひょん。妖怪の、長老、的な、視点」
「俺は?」
「あなた、人間の、視点」
(家族、全員、関わる、相談所)
(白音さん、家族、巻き込む、考え)
(白蛇、リーダーシップ、発揮)
「白音さん、リーダー、ですね」
「リーダー?」
「ええ。家族、全員を、巻き込む、計画、リーダーシップ」
白音が、目を、見開いた。
「……私、リーダーシップ、持ってる?」
「持ってます」
「……」
「自覚、なかったですか」
「……三百年、リーダー、と、思ってこなかった」
「リーダー、です」
「……ふふ」
(白音さん、リーダー、新しい、自覚)
(自分の、新しい、面、発見)
(俺、白音さんの、自己発見、手伝った)
---
夕方、家族会議が、開かれた。
白音の、提案で。
全員、リビングに、揃った。澪、紅、ましろ、みつき、白音、管理人、悠斗、悠真。
白音が、計画書を、出した。
「みんな、相談所、開きたい」
(白音さん、堂々と、宣言)
(傍観者の、白音さん、なくなった)
(リーダー、白音さん、登場)
紅が、最初に、頷いた。
「白音、いい考え」
「料理、手伝うか」
「もちろん」
みつきも、頷いた。
「あたし、情報屋、として、参加」
「お願い」
澪も、頷いた。
「……私も」
「雪女の、視点、お願い」
「……分かった」
ましろも、頷いた。
「ましろも、参加!」
「ありがとう」
悠斗も、頷いた。
「悠斗も、半妖、として、手伝う」
「悠斗くん、ありがとう」
管理人が、扇子を、開いた。
「……俺は、邪魔、しない」
「管理人、邪魔、じゃ、ない、参加してほしい」
「……うむ」
(管理人さん、了承)
(家族、全員、参加、決定)
白音が、悠真を、見た。
「悠真くん」
「はい」
「あなた、人間の、視点」
「分かりました」
「ありがとう」
「お礼、いらない、ですよね」
「ふふ、いらない」
(家族、全員、相談所、参加)
(百鬼荘、新しい、活動、始まる)
(白音さん、リーダー)
---
夜、悠真と、白音は、また、縁側に、いた。
月が、出ていた。
「悠真くん」
「はい」
「今日、ありがとう」
「お礼、いらない、ですよ」
「言いたいの」
「……」
「あなた、私の、新しい、人生、見つけてくれた」
「白音さんが、考えました」
「あなたが、ヒント、出してくれた」
「俺、白音さんから、教わった、こと、お返しした、だけです」
「……それ、嬉しい」
(白音さん、嬉しい、と言った)
(俺、白音さんに、お返し、できた)
(教わった、こと、活かせた)
「白音さん」
「うん」
「白音さん、もう、傍観者、じゃ、ないですね」
「……うん」
「卒業、ですか」
「卒業」
「おめでとうございます」
「ふふ、ありがとう」
(白音さん、傍観者、卒業)
(リーダー、として、新しい、人生)
(俺、白音さんが、進む、こと、嬉しい)
白音が、しばらく、月を、見ていた。
「悠真くん」
「はい」
「私、もう、選択肢、外でいい」
「え?」
「あなたの、選択肢、五人。私も、入っていた」
「はい」
「でも、私、今、新しい、人生、見つけた」
「……」
「だから、選択肢、外で、いい」
(…………)
(白音さん、選択肢、外、と、言った)
(自分から、降りた)
(傍観者、卒業、と言ったけど、選択肢、からも、卒業)
「白音さん」
「うん」
「俺、白音さんを、選ばないとは、決めていません」
「分かってる。あなた、誰も、選ばない、選択を、した」
「はい」
「でも、私、選択肢、外、にいたい」
「……」
「相談所の、リーダー、として、家族、全員を、見る、立場で、いたい」
(白音さん、家族、全員を、見る、立場)
(恋愛の、対象、外)
(家族の、姉、として)
「白音さん、いいんですか」
「いい」
「……分かりました」
「ありがとう」
(白音さん、自分から、選択肢、降りた)
(澪、紅、ましろ、みつき、四人、残った)
(白音さん、家族の、姉、として、サポート役)
(俺の、選択肢、シンプルに、なった)
(白音さんの、選択、尊重する)
---
夜、悠真は、自分の、部屋で、ログを、書いた。
*【自分のログ:三十九日目】*
*感情:感謝、応援、安心、決意*
*感謝:白音さんが、新しい、人生、見つけた*
*応援:白音さんの、相談所、家族、全員で、応援*
*安心:白音さんが、自分から、選択肢、降りた*
*決意:四人の、選択肢、ちゃんと、向き合う*
(ログ、書き終わった)
(白音さんの、卒業)
(リーダーの、白音さん)
(俺の、選択肢、四人)
(澪、紅、ましろ、みつき)
(曜日制、白音さんの、金曜、これからは、相談所、サポート、の日に、変わる、かも)
(家族、変化していく)
(俺、見守る)
そのとき、ノックの音。
「どうぞ」
澪が、入ってきた。
「澪さん」
「……白音、選択肢、外、って?」
「ご存じ、ですか」
「白音、自分で、教えてくれた」
「……」
「澪さん、どう、思いますか」
「……白音、いい、選択」
「ですよね」
「……白音、家族の、姉、として、ぴったり」
(澪さん、白音さんの、選択を、認めている)
(百鬼荘の、女性陣、お互いを、認め合う)
「澪さん、選択肢、四人、です」
「うん」
「変わらず、月曜は、特別」
「うん」
澪が、悠真の、隣に、座った。
「悠真」
「はい」
「……白音、相談所、私、雪女の、視点、で、参加する」
「ありがとうございます」
「……家族の、活動、参加、嬉しい」
「……」
「……家族、として、ここに、いる、こと、確認できる」
(澪さん、家族、感、強くなっている)
(雪女、不器用だけど、家族、認識、ちゃんと、している)
「澪さん」
「うん」
「ありがとうございます」
「……お礼、いらない」
「言いたいんです」
「……ふふ」
(澪さん、ふふ、また、増えた)
(雪女の、ふふ、定着)
(俺、嬉しい)
---
岬悠真、百鬼荘生活、三十九日目。
金曜日、白音の日。白音さんの、新しい、人生、考えた。相談所、開く、計画。家族、全員、参加。白音さん、リーダー、傍観者、卒業。白音さん、自分から、選択肢、外、と決めた。
それ以外は——
白音さんの、新しい、人生。
俺の、選択肢、四人に、なった。
(家族、それぞれ、動いている)
(白音さん、リーダー、として、相談所)
(みつきさん、ろくろ首コミュニティ、訪問)
(紅さん、神代さんとの、関係、進展)
(澪さん、雪女の、集落への、招待、考えている)
(俺、見守る、立場)
(百鬼荘、変化、続く)
---
*【第40話「土曜、相談所の、準備を、始めた件」に続く】*
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