終わることのない春

春木（はるき）ミヤモトは、日の川県で最も名門とされる東雲高等学校に通う女子生徒。
明るく前向きだが少し不器用な性格のせいで、彼女はしばしばクラスの注目を集めてしまう。

そんな彼女の視線を奪ったのは、同じクラスにいる白鷺カイト――かつて「天才」と呼ばれた剣道少年。しかし過去の悲劇に囚われ、心を閉ざしていた。

春木の真っ直ぐな眼差しと諦めない心は、やがて彼の氷のような壁を少しずつ溶かしていく。
失われた剣道部を復活させる二人の挑戦は、痛みと秘密に満ちた過去と向き合う旅でもあった。

春の光の中で、二人は再び歩き出す――それは、終わらない春の物語の始まりだった。