何気なく描いた落書きが、全ての運命の歯車を狂わせた……!
- ★★★ Excellent!!!
一気読みさせていただきましたが、実に読み応えがありました。
始まり方こそなろう系のような冗談じみたとっかかりでしたが、話が進むにつれてギアの上がり方が加速度的に早まっていき、あっという間に飲み込まれた気分です。
ホントに、何気なく描いただけのはずなのに、どうしてそこまで人の心を打ってしまったのか……。
その結果、様々な思惑が交錯し、あちこち飛び回るような攻防戦にまで発展するとは……。
ある意味、本当に価値があったのは、絵よりも主人公自身の才能だったりするのかもしれません。
登場人物が実に個性的で、皆いい味を出しています。
ミステリアスな美女探偵、飄々として掴み所のない謎のボディガード、敵か味方か意図が読めないガールフレンド、わかりやすく悪者然とした悪役……どのキャラも非常に造詣が深く仕上がっています。
また、複線回収も見事で、ラストで畳みかけるように回収されていったのも爽快感がありました。
総じて満足感の高い、スリリングなサスペンスドラマだったと言えます。
読み疲れするような長編でもありませんので、楽しみつつ集中して読むことができるでしょう。
是非とも本作をお手に取り、奇妙でスリリングな旅路を楽しんでみてください。