「きれいすぎる楽園で、立ち止まってしまった」

最初は、説明が多くて距離を感じた。
物語に引っ張られるというより、話を聞かされている感覚に近い。
でも読み進めるうちに、感情で殴ってこないところが、この話の性格なんだと思った。
登場人物の声は静かで、世界も整いすぎている。
その分、温度が低くて、居心地がいいかどうかは人を選ぶ。
ただ、読み終わったあとに「美しい」という言葉だけが、少し違う意味で残った。
盛り上がりを求めると物足りない。
けれど、考えごとをしながらページをめくるには、妙に合っていた。
気づいたら、続きを読んでしまっていたのは確か。