概要
「この世界を壊すか、貴女が私の下へ来るか、どちらがいいですか?」
「初めまして、リーティル。私の名はアルテヴァラエ、魔族の世界《マグス・ムンドゥス》を制する魔王です」
十七歳最後の夜、わたしの部屋のバルコニーへふわりと降り立ったのは、銀の瞳を優しく細めた魔王陛下だった——。
わたしは聖王家の姫で、次期聖王。そうやって生まれ落ちたのだから、この暖かくて穏やかで、安全な鳥籠の中で生きる義務がある。
公務と授業で詰められている毎日、ほんのりと冷めた食事、相応しい振る舞い、決められた結婚……。
自由を願ってはいけない。
「——聖族の世界《サンク・ムンドゥス》を壊すか、貴女が私の下へ来るか、どちらがいいですか?」
魔王陛下は笑って言った。
彼はわたしたち聖族の味方とは限らない。そう差し出された右手を取ったらもう二度と引き返すことはできない。
それでもわた
十七歳最後の夜、わたしの部屋のバルコニーへふわりと降り立ったのは、銀の瞳を優しく細めた魔王陛下だった——。
わたしは聖王家の姫で、次期聖王。そうやって生まれ落ちたのだから、この暖かくて穏やかで、安全な鳥籠の中で生きる義務がある。
公務と授業で詰められている毎日、ほんのりと冷めた食事、相応しい振る舞い、決められた結婚……。
自由を願ってはいけない。
「——聖族の世界《サンク・ムンドゥス》を壊すか、貴女が私の下へ来るか、どちらがいいですか?」
魔王陛下は笑って言った。
彼はわたしたち聖族の味方とは限らない。そう差し出された右手を取ったらもう二度と引き返すことはできない。
それでもわた
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