雨音に溶けたその声で、恋が始まった

好きだった幼馴染にフラれて半年。
名前で呼ばれなくなったその朝、私はまだ『振られたまま』を続けていた。

そんな心のすき間に、不意に差し込んできたのは――
剣道部のエース、クラスの人気者、『絶対零度』の異名を持つ男子。

ほとんど話したこともなかった。
だけど、体調を崩した彼が、びしょ濡れの私に、何も言わず傘を差し出した。
その背中を、私は追ってしまった。

気づけば彼の部屋、彼のベッド、彼の呼吸。
触れた指先の熱に、心が跳ねる。
これはまだ恋じゃない。ただ、恋になる『直前』の物語。

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