恐怖の先にある、命と友情
- ★★★ Excellent!!!
あまりに面白く、思わず二度読みしました。
そのうえで、感じたことを率直に書かせていただきます。
十年前の夏の邂逅から始まる物語。
「オニ」という異形をめぐって、少年たちはそれぞれの選択を迫られていきます。
とくに印象に残ったのは、神社でオニの影と向き合う場面でした。
怖さに足がすくむのに、友だちを置いて逃げない――そのやり取りに胸を打たれました。
ホラーの緊張感と、青春小説のようなまっすぐさが同時に立ち上がる瞬間でした。
人物の言葉や仕草が細かく描かれていて、恐怖の中でも彼らがどう動くのかに目を離せません。
最後の一行を閉じたとき、ホラーらしい怖さと、友を思い出すような温かさが同時に残りました。
ホラーを探している人にも、絆を描いた物語を読みたい人にもおすすめです。