前作「オニが出るよ」の続編であり、前作同様のふたりの主人公たちが紡ぐ怪異×ブロマンス物語です。
とある因縁を持つ雪比古と、親友の桂吾が、怪異へと立ち向かう。二人の絆は家族や兄弟よりも強く、決して依存でもないそのまっすぐな関係性が物語を優しく切なく彩ります。
前作の試練を乗り越え成長した二人の掛け合いが見れる今作は、一層固い絆で結ばれた関係性がぐっと伝わってきて胸を熱くさせました。
もちろん前作未読であっても楽しめるようになっているため、怪異や因習の物語に興味がある方は続編だからと躊躇せずに読んでいただきたいです。
とはいえ…個人的には前作もぜひ読んでほしい…!前作からの絆の深まりや、前作から繋がるセリフなど、この二人がどれだけお互いを想いあってるかの理解度がかなり変わってくると思います。
想いあってるからこその切ない選択、それでも二人で成し遂げる意味とは…。
ふたりの成長譚と友情を超えたかけがえのない関係をぜひこの作品で感じていただきたいです。
あまりに面白く、思わず二度読みしました。
そのうえで、感じたことを率直に書かせていただきます。
十年前の夏の邂逅から始まる物語。
「オニ」という異形をめぐって、少年たちはそれぞれの選択を迫られていきます。
とくに印象に残ったのは、神社でオニの影と向き合う場面でした。
怖さに足がすくむのに、友だちを置いて逃げない――そのやり取りに胸を打たれました。
ホラーの緊張感と、青春小説のようなまっすぐさが同時に立ち上がる瞬間でした。
人物の言葉や仕草が細かく描かれていて、恐怖の中でも彼らがどう動くのかに目を離せません。
最後の一行を閉じたとき、ホラーらしい怖さと、友を思い出すような温かさが同時に残りました。
ホラーを探している人にも、絆を描いた物語を読みたい人にもおすすめです。