才能は流れる川のよう

八木崎

才能は生もの




 以前どこかの作品にて『才能は生もの』という表現をしているのを見たことがある。


 才能というものは保存がきかないし、放っておいたら腐るし、扱いを間違えるとダメになる。


 だからこそ、新鮮なうちに使わなきゃいけないし、磨かなきゃいけない。



 だけど私は、それよりももっと別のイメージを思い浮かべる。


 たとえば、山の奥から湧き出る一本の細い川。


 まだ誰にも知られていない、澄んだ水の流れ。



 才能というのは、きっとこの川に似ている。


 淀みなく流れていればこそ、透明で、美しい。


 けれども、その流れがふと止まってしまえば──


 水は澱み、やがて腐り、濁ってしまう。



 大切なのは「持っていること」ではなくて、どんなものでも「流し続けること」なのだろう。


 ほんの少しでもいい。少しずつでもいい。


 使ってみること。磨いてみること。


 誰かに見せてみること。


 そうして、川の水のように、動かしていくこと。



 ときどき、自分の中にある何かが停滞している気がするときがある。


 あの頃よりも鈍くなった気がする。もう、終わったのかもしれない──


 そんな風に思ってしまうことだってある。



 けれど、流れはまた始められる。


 川は一度濁っても、また清らかさを取り戻すことがあるのだから。



 あなたの中にも、きっとまだ流れはある。


 止まって見えるその水面の下で、静かに、息をひそめるように。



 どうかその才能を、怖がらずに動かしてみてほしい。


 それはきっと、あなた自身の手で流れを生み出す、小さな第一歩になるのだから。




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才能は流れる川のよう 八木崎 @phoenix_yagisaki753

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