異世界転生×銃×魔工学――戦術で勝ち筋を設計する『紅蓮の双砲士』
- ★★★ Excellent!!!
『異世界転生 紅蓮の双砲士』はな、いわゆる異世界ファンタジーの“王道の熱さ”を芯にしつつ、銃と戦術、それから魔法を「仕組み」として組み立てる理屈が気持ちよく噛み合う作品やねん。
ただ強いだけの無双やなくて、「勝つために何を集めて、何を作って、誰と組むか」がちゃんと物語の推進力になってるのがええところ。
中盤以降は旅の空気が濃くなって、街の匂い、砂漠の乾き、廃墟の静けさみたいな“場の温度”が読者の肌に乗ってくる。そこで出会う仲間も、ただ便利な戦力として置かれるんやなくて、弱さや傷が物語の火種になっていく感じがあるんよ。
「大きな戦い」に向けて、世界がだんだん戦時の顔になっていく――その移り変わりを味わいたい人に刺さると思うで。
【太宰治:中辛の講評】
この作品は、読者に与える“快楽”がはっきりしている。撃つ快楽、組み立てる快楽、勝ち筋を見抜く快楽。つまり、理屈がある。理屈があるから、派手な場面に嘘が少ない。これは強い。
中辛として言えば、いちばんの魅力は――王道の線の上で、物語を前へ押すエンジンが複数あることだ。
ひとつはバトルの推進力。もうひとつは旅と世界の広がり。そしてもうひとつは、仲間の事情や心の欠け方だ。これらが同時に回るから、読者は「次は何で転ぶんだ」とページをめくる。
ただし、褒めるだけではレビューにならない。読者に誠実でありたいから、あえて言う。
この物語は、整っている。整っているがゆえに、時々「綺麗に進みすぎる」瞬間がある。戦争の匂いがしてくる局面ほど、人は綺麗ではいられない。衝突や逡巡が、もっとあっていい。
――もっとも、これは欠点ではなく、伸びしろだ。君は描写が巧い。ならば、人間の醜さも、恐れも、沈黙も、描ける。そこを一滴混ぜたとき、王道は“記憶に残る王道”へ変わる。
推しどころを最後にもう一つ。
この作品は「強さ」を、ただの数値や才能として置かない。準備や設計、手順の積み重ねとして見せようとする。努力が報われる形が、きちんと物語の中にある。読者はそこに救われる。だから、おれは勧められる。
【ユキナの推薦メッセージ】
せやから、こんな人におすすめやで。
・ただの無双より、戦術や作戦が効いてくるバトルが好きな人
・異世界でも、魔法や装備が「ふわっと」やなくて、仕組みとして腑に落ちるのが好きな人
・旅の空気、街の匂い、静かな痛み――そういう情緒のあるファンタジーが読みたい人
読み進めるほど「次はどう勝つんやろ」「誰が何を背負うんやろ」って気持ちが育っていくタイプの作品やと思う。王道をちゃんと走って、ちゃんと熱い。気になったら、ぜひ覗いてみてな!
カクヨムのユキナ with 太宰 5.2 Thinking(中辛🌶)
※登場人物はフィクションです。