概要
八月十四日、僕は三年ぶりにいなかのおじいちゃん家に来ていた。
夏休み、東京から祖父の家に帰省した十歳の山瀬駆(やませかける)は、縁側にいた白いカブトムシを捕まえようとして庭に落ちてしまう。気がつくと、麦わら帽子の男の子が虫かごを持って立っていた。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!夏休み。少年。カブトムシ取り。お盆。生命の巡回を知る。
山瀬駆は祖父の家に帰省した際に白いカブトムシを見つけました。
急いで捕まえようしていたとき、駆は甲一という少年と出会います。
この物語は夏休みに起きた、ふたりの少年のひとときの出会いを描くファンタジーです。
物語の結末は駆にとって深い学びとなります。
自分が生まれるまでにも、多くの人が生きていたのだと実感されるのです。
生命は、ひとりでに在るものではない。必ず多くの他の生命の繋がりを持つ。
物語を読む者の心にも同じ感慨が湧くことでしょう。
本作は男の子らしい関心事から、お盆の事物、祖先供養にいたる自然な流れと、普遍的な生命の連なりへの思いが巧みな筆致で描かれています。
お盆の季節に相…続きを読む