山瀬駆は祖父の家に帰省した際に白いカブトムシを見つけました。
急いで捕まえようしていたとき、駆は甲一という少年と出会います。

この物語は夏休みに起きた、ふたりの少年のひとときの出会いを描くファンタジーです。

物語の結末は駆にとって深い学びとなります。
自分が生まれるまでにも、多くの人が生きていたのだと実感されるのです。

生命は、ひとりでに在るものではない。必ず多くの他の生命の繋がりを持つ。
物語を読む者の心にも同じ感慨が湧くことでしょう。

本作は男の子らしい関心事から、お盆の事物、祖先供養にいたる自然な流れと、普遍的な生命の連なりへの思いが巧みな筆致で描かれています。
お盆の季節に相応しい、しみじみと味わえる趣深い作品です。

どうぞご覧ください。

わたしには弟も、妹もいません。
姉が1人。
九州の佐賀に嫁ぎました。

わたしはお兄ちゃんではありません。
お兄ちゃんにもなれません。

お兄ちゃんって、自然になるものなんだな。
このお作品を読ませていただき、感じました。
永遠の末っ子。
お兄ちゃんにはなれないな。

主人公の駆（かける）は小学四年生。
お盆で田舎に帰省します。
大人は法事の準備で忙しいですが、取り残された子どもって暇ですよね。
自分の子供時代を思い出しながら読んでしまいました。

そこで出会う、羽化したばかりの白いカブトムシ。
でも、出会うのはそれだけじゃありません。

白いカブトムシという珍しい昆虫をキーアイテムにして、さらりとファンタジーの世界へと転換していく滑らかさ。お盆という行事と上手に絡めた展開も感動的でした。

ちょっと今年の夏は、実家に手を合わせにいかないとな。
きっと読んだあなたも、青い空を見上げるはずですよ。