音のない世界は、尽き果てた絶望ではなく希望の始まり。

 ……と、冒頭からネタバレっぽい事をほざいてしまいましたが、本文はネタバレなしで行きましょうか。

 まず、この物語の何が凄いかと言うと、抒情的な文の書き方が俊逸!
 もうここが絶妙です。
 
 特に心理描写の書き方がとんでもない。

 ここで『心理描写なんて、考えてる事をまんま書けば良いんじゃ?』……と思うソコのあなた。

 まんま書くだけなら、単なる文字の羅列なんですよ。
 そんなの、第三者の心に響かないんです。
 ちゃんと、読み手の心をダイレクトに射貫く様な書き方をしないと、文字は心に響かないと相場じゃ決まってるのです。ええ、ホント面倒な事にね……。

 そして、更に俊逸なのが文字数と改行の仕方です。
 クッソ長くなったら、読んでて大変ですよね?
 しかし、短過ぎると何が言いたいのか分からない。

 このバランスが絶妙です。
 短く読みやすくするのなら、一つの文字や単語に相応の意味をしっかり入れて描く必要があります。これ、ホントに難しい。
 
 読みやすく考慮する為、限られた文字と多めの改行を挟んでも尚、心に残る文章をしっかり抒情的に描くこの作品は一級品と言えます。

 是非とも皆さんに読んで貰えたらな、と思います。

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