自分自身の声を持つことの大切さを教えていただきました!

高校生の音羽は、スピーチ大会に向けて努力を重ねてきたのにも関わらず、信頼していた人に裏切られ(冷たく突き放され)、やがて心因性失声症となって声を発せなくなってしまった。
そんなある日、彼女の前に澪という名の男の子が現れる。
彼は、明るく真面目で英語が上手……すぐにクラスの人気者になるが、常に音羽を気遣うように立ち回る。
どうやら二人は、かつて出会ったことがあるようだ。
澪はその時の思いから音羽を守ろうとするのだが、彼もまた、心を追い詰められることの苦しみを、身を持って知っていたのだった――。


声を出せなくなった音羽と、生きることを制限され続けてきた澪、二人が互いを優しく支えながら自分自身を取り戻していく……二人の優しさと勇気が胸を打つ、奇跡のような物語です。

今作において二人に立ちはだかる障壁はあまりに高い。
本来、信頼すべき先生に理解されなかったり、愛すべき親に自由を縛られたら……。
社会もその解決のためにスムーズに動いてくれる……ということは難しいでしょう。
それでも、二人はいろんな人々の力を借りながら、そして反対に手を差し伸べながら、友達をつくり、自分の心と向き合い、状況を少しずつ明るい方へと運んでいきます。

そんな過程を通して、自分自身の声を持つことの大切さ、そのために支え合う勇気や優しさの重要さを教えていただきました。

是非とも、多くの方々に読んでいただきたい傑作です!!!

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