見事な物語構成、そして悲哀のドラマ……素晴らしい傑作短編ミステリー!
- ★★★ Excellent!!!
本物の白を見分けることのできる美大生・長谷部優子。
彼女はやましろ美術館にて開かれた展示会で、とある絵を贋作であると見抜く。
そしてその三日後に、川辺でミレイ作『オフィーリア』のような姿で、遺体となって発見された。
アイリス探偵事務所の御影遙と西村太一は、贋作の調査の時に彼女を見知っていた。
彼女の死についても調査を開始するのだが……。
絵画の世界をモチーフとした、静謐さと狂気に満ちた傑作ミステリーです。
とにかく、事件前と事件後を交互に展開させながら進んでいく物語構成が素晴らしい!
贋作調査の内容と長谷部優子の死の真相に近づきながら、最後にこの二つの事件が合わさるとき、本格ミステリーとしての見事さと悲哀のドラマが待ち受けておりました。
短編ながらにして、そうとは思えないほどの複雑かつ深みのある悲哀の是非ともご一読を!!!