背中で語る、これが『誠』の最期

時は隋末。
民を顧みず、奢りと欲に溺れた煬帝のもと、帝国は音もなく崩れていく。
叛乱が広がり、兵も食も尽きかけたとき、ただ一人、命を賭して民を守った男がいた。

名を張須陀。
地位も名声も求めず、ただ「まっとうに生きたい」と願った一人の将。

彼の側には、荒ぶる若獅子・羅士信と、静かなる刃・秦叔宝。
数で勝る敵を相手に、わずかな兵で挑み続けた彼らの戦は、
常に不利から始まり、「ちこっとばかしの策」で終わる。

だが、どんな勝利も、どんな犠牲も、腐った王には届かない。
信義が踏みにじられたとき、忠臣は剣となり、国を見限る。

これは、滅びゆく帝国に咲いた一輪の『誠』の物語。

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