英雄の記憶はコンビニで腐る

英雄は世界を救った。だが、“この世界”には救われなかった。

異世界で魔王を倒し、神々に讃えられた勇者・アデル。
彼が報酬として転生された「次の人生」は――日本の片隅、無名のフリーターだった。

魔法も名誉も消え、深夜のコンビニで廃棄弁当を捨てるだけの日々。
誰にも気づかれず、誰にも知られず、それでも彼は“誰かのために”生きようとする。

そして、最期の夜。

誰も知らない英雄が、たったひとつの命を救い、静かに世界から姿を消す。

忘れ去られた勇気が、確かにそこにあった――

これは、「名もなき正義」の物語。