死ぬ運命の親友と同じ一日を繰り返す青春譚──

「今日は律が死ぬ日だ」──

その言葉から始まるのに
この物語は決して
〝死ぬ〟ことだけを描いてはいません。

何度も繰り返される同じ通学路
同じ会話
同じ夕暮れ──

その反復の細部が少しずつ軋み
ほんのわずかな〝違和感〟として
読むうちに胸に積もっていきます。

親友を失うことが確定している一日を
それでも諦めきれず
抱きしめ続ける夏月の視点は

痛いほどまっすぐで
どこまでも幼く
残酷なほど誠実です⋯⋯

ループものの〝謎〟を楽しみつつも
本当に刺さるのは
タイトルに込められた
〝呼ぶ〟〝呼ばれる〟という
関係性の切なさと

〝手を伸ばす〟という
行為そのものの意味──

頁を閉じたあと
自分にとっての〝名前を呼びたい誰か〟を
ふいに思い出してしまう。

短編なのに、読後の余韻は長編級

静かに胸を抉る
優しくて残酷な一篇でした。

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