概要
お前を還す為に、もう一度、俺は生きると決めた。
高校二年の夏、太陽は部活帰りの土手で、突如として空間が歪むような感覚に呑まれた。
目を覚ました彼がいたのは、見知らぬ川辺。そこには片腕がなく、包帯で右目を覆った無愛想な少年――蒼真が立っていた。
「ここは……どこだ……」
そこは、太陽の知る日本ではなかった。
戦争の只中で、黒い装甲に身を包んだ“黒兵”たちが人を襲い、村々が焼かれた世界。
蒼真はそんな地で、唯一生き残った元・軍学校の生徒だった。
はじめは警戒しきっていた蒼真も、太陽と行動を共にするうち、少しずつ心を開いてゆく。
だが、彼の過去には想像を絶する悲劇が刻まれていた。
「おまえは、帰るんだ。この地獄から」
一人は、喪った者たちの記憶と痛みを背負って。
一人は、帰れぬ世界への希望を探して。
――これは、二人の少年が“終わ
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